『入浴福祉新聞 第82号』(平成14(2002)年12月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
強要・・・窃盗・・・違法請求…詐取・・・など福祉や介護の世界でも続々と不祥事
〔さまざまな人たち〕が参集したり従事する時代
いっそうの社会的使命感をもって業務に邁進を
最近、巨大企業を中心とする不祥事が続き、あらためて事業倫理が問われていますが、福祉や介護の事業所でも例外ではなく、スキャンダルが目立ってきたように思えます。
どんな事業でも〔信用〕が第一。しかし、〔特異な世界〕とされてきた福祉や介護の分野には、いま〔さまざまな人たち〕が参入したり、従事する時代になりました。
そのため、これからもしばらくは不祥事が増加する心配もないわけではありません。
そんな状況のなかでも、私たちは社会的な使命感を胸に秘めながら、常に襟を正して仕事に取り組みたいものです。
参考までに、新聞が報じた〔福祉や介護の事業者や従事者が起こした事件〕をいくつか取り上げてみました。
【高齢者福祉施設に温泉供給の事業者を強要で逮捕】
昨年の11月、神奈川県大磯町の温泉供給業の代表者が神奈川県警に逮捕されました。
直接の容疑は、大磯町教育委員会の幹部に、研修旅行への参加を強要したとのことですが、この業者は箱根の温泉を、同町の高齢者福祉施設に運搬する業務を受託していました。
事件の解明が進む中で、この業者の受託料がこの8年間で6倍になる法外な価格になっていたことや、業者のヤクザまがいの言動に町役場が怯えて、いいなりになっていたことも判ったそうです。
民間活力はおおいに利用すべきですが、福祉事業にも〔いろいろな御人が参入するようになった〕ことを忘れてはいけません。
【アパートに高齢者を収容し訪問介護報酬を請求】
今年の3月、茨城県水戸市の事業者がアパート6室に約50名の高齢者を収容し、関連事業所がヘルパーを派遣して介護保険料を過大に請求していたことが発覚しました。
アパートは約65㎡で6部屋あり、一部屋に8人が生活する〔有料老人ホーム〕ですが、無届の違法建築だったそうです。
この事業者のやり方は、より高い介護報酬が狙いであることは明白。家庭から厄介者扱いされる高齢者をターゲットにする悪知恵に長けた事業者がこれからもっとふえるかもしれません。
奇妙な情報をキャッチした場合は、すみやかに自治体の関係部署などに届けたいものです。
【ヘルパーが利用者宅からカード盗み現金引き出す】
今年の4月には、横浜市福祉サービス協会に所属するパートの女性ヘルパーが、利用者宅からキャッシュカードを盗み、115万円を銀行から引き出していたことが明るみになりました。
この女性は介護福祉士の資格もあり、4年前から同協会に所属。被害を受けた要介護5の奥さんと要介護3のご主人の家庭には、3年前から訪問。雑談をしながら暗証番号を聞き出していたといいますから、かなり計画的な犯行です。
横浜市は全国でもトップクラスのヘルパー利用率を誇っています。その推進役になったのが横浜市が設立した第3セクターの同協会で、いまでは5500人ものスタッフがいる大規模事業所に成長しています。
それだけに関係者は強い衝撃を受け、県紙は大々的な報道をしました。
最近は実にさまざまな人がヘルパー資格を取得する時代です。採用側は選択眼を養い、周到な人事管理を行う必要が出てきたようです。
【500人から受講料詐取のヘルパー教室を摘発】
知事の指定を受けていないのにヘルパー1級講座を開設して受講料をだまし取っていた大阪府内の事業者が、8月に摘発されました。
この事業者は、堂々と府内各地で教室を開設。受講料をだまし取られた生徒は近畿を中心に約500人、被害総額は5300万円にものぼっています。
ヘルパー養成校の摘発は全国でも初めてですが、関係者はなぜ情報をキャッチできなかったのか?不思議でなりません。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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