『入浴福祉新聞 第83号』(平成15(2003)年4月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
まだまだ厳しい男性ヘルパーの受け入れ
「美味い」と利用者を唸らせる料理を突破口に
圧倒的に不足しているホームヘルパーを養成する教室が、全国各地で開催されるなか、中高年を中心に男性の受講者がかなり目立ってきた。
就業構造や男性の意識変化を感じさせる一面ではあるが、男性ヘルパーの道はまだまだ厳しい。
第一、ヘルパーの収入では家計を支えられない報酬体系になっている。全国最大の訪問介護事業所である横浜市福祉サービス協会には、100名以上の男性登録ヘルパーがいて、65名ぐらいが活躍しているが、平均年齢は65歳。ほとんどが年金をもらいながら、第二の人生をヘルパーに懸けている人たちだという。
男性ヘルパーの道が厳しい理由の二番目は、利用者側が「男性に家事は頼みにくい」などで男性ヘルパーを敬遠するため、事業所も採用を躊躇する点にある。
その結果、介護福祉の分野で男性の進出が著しいのは、訪問入浴サービスと施設ぐらいなのが現状だ。
しかし、体重の重い利用者への対応、浴槽磨き、汚れが激しい部分の掃除など、オトコの力が必要な仕事は訪問介護でも多いはずで、男性ヘルパーはこれからもっと増やしてゆく必要があるだろう。
そのためにも、男性ヘルパーの活躍ぶりを機会あるごとに自治体の広報メディアなどで取り上げたり、男性ヘルパーを依頼している利用者と家族の声も、どしどしと伝えてほしいものだ。
そして、一般的に男性は料理が苦手とされるが、料理学校にも通ったり、調理師免許も取得するなどの努力を男性ヘルパー自身がすべきだろう。
「利用者から人気のあるヘルパーは料理が上手」といわれる。〔職の習慣〕や〔味の好み〕は、歳をとればとるほど融通がきかなくなる。しかし、〔味に熟達〕し〔舌が頑固〕になった高齢者にも、「美味い」と言わせる食事が提供できれば、利用者や家庭とのいい人間関係が構築できるはずだ。
訪問入浴のスタッフが、どの家庭からも笑顔で大歓迎されるのは、渇望しているニーズに応えてくれるからである。それと同様に、「生きてきて良かった」と感嘆させる〔食の味〕を提供できれば、男性だろうが、女性だろうが、利用者は訪問を待ちわびるはずである。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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