『入浴福祉新聞 第102号』(平成19(2007)年11月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
[要治療と要介護]減らす入浴効果の啓発を
75歳以上の後期高齢者の医療制度と同時に75歳未満の健診と保健の新制度スタートへ
[保健・医療・介護]の大改革の一環として、来年度から75歳以上の高齢者を対象とする「後期高齢者医療制度」がスタートします。この制度は、75歳未満の公的保険とは別建となり、都道府県単位の広域連合で運営されるなどの特色がありますが、同時に後期高齢者は介護保険の主対象でもあるため、[医療と介護]の大胆な連携や統合も求められ、[ケアの世界]はダイナミックな変化を余儀なくされる時代になるでしょう。
「後期高齢者保健制度」の創設と同時に、厚生労働省では、[要治療・要介護の高齢者を少しでも減らし、[国民の健康寿命]を延ばすため、「特定健診・特定保健指導」をスタートさせることになりました。
[健康高齢者づくり]は中年からのライフスタイルが決め手といわれるため、40歳から74歳を対象に、病気になりやすい生活習慣か否かをはじめ、血圧…内臓脂肪…血糖などもチェックして、健康づくり指導に乗り出すのです。
チェック対象は実に約5,600万人といわれ、想定ではうち1,400万人が[近い将来に要治療や要介護になる恐れがある特定保健指導対象者]と見込まれております。
「特定健診・特定保健指導」は、これまでの住民健診といった曖昧なレベルではなく、民間の健康関連事業所にも協力を仰いで取り組んでゆく大がかりな制度にしてゆく計画です。こうした国の施策方針のなかで、ケア関係はもちろん、都道府県市区町村の保健・医療・介護の関係者にもっと関心を深めていただきたいのが、[入浴の効果]ではないでしょうか。
温泉浴も含め副交感神経を優位にする微温浴といった適切な入浴習慣を続けていますと、循環機能は改善され、内臓の働きも活発となり、熟睡ができるようになるなど、心身の調子を整えてくれます。
高血圧…高血糖…脂質異常…といった生活習慣病は、入浴や温泉浴で、確実に減らせることが最近の研究で判ってきました。[新しい保健指導の時代]が始まろうとしているいま、全国各地で[温浴による健康づくり]が本格的に始まることを期待しています。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。