『入浴福祉新聞 第103号』(平成20(2008)年1月10日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
公共空間での転倒死 現状のままでは急増
元気で長生きをするための大敵が、骨がスカスカになって脆くなる骨粗鬆症。高齢者の増加にともない、この患者が、いまでは全国に1100万人以上もいるといわれている。
とくに、女性ホルモンとの関係で、閉経後の女性は骨密度が減少して骨粗鬆症になりやすいことはよく知られているが、遺伝的な体質…深酒やタバコの習慣…緑黄色野菜や動物たんぱく質の少ない食生活…なども関与していることが判ってきた。
骨粗鬆症を防いで改善もする薬剤の研究も進んでいるとはいえ、まだまだ決定的な段階には至っていない。
骨が脆くなると怖いのが骨折。歩けなくなって要介護状態になる原因のかなりの割合を占めているのは承知のとおりである。骨折の最大の原因は転倒だから、転倒骨折しないよう、筋力の維持向上が要介護予防の大きな課題になったわけだ。
最近は[転倒即死亡]という高齢者も増え続けていて、国土交通省が推計したところ、道路や建物など公共空間の安全対策が現状のまま変わらないとすると、20年後には倍増し、年間5000万人を超えるそうだ。
公共空間だけで、この数字だから、早急に対策を考えないと、屋内での事故を含め、[転んで死亡時代]が到来してしまう。
転倒をしやすい人は、何らかの病気をもっていて、最近は認知症や精神疾患の高齢者に多いこと、精神薬も使い方によっては転倒リスクを増すこと、などのデータが出始めている。転倒防止の国家的プロジェクトが必要だ。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。