2020
03.13
凄まじい入浴風景を目撃 [効率主義]のオトシアナ~『入浴福祉新聞 第53号』より~
従事者向け
『入浴福祉新聞 第53号』(平成7(1995)年10月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
凄まじい入浴風景を目撃 [効率主義]のオトシアナ
ある高齢者施設で、スゴイ風景を目撃してしまった。
そこでは入浴時間になると、「部屋から出ないように」との命令が入居者に下される。
入居者が部屋にいなければ、寮母さんが探さなければならない。その時間がモッタイナイからである。
そして、浴室の前から廊下へとズラリと並ばせて、順番に入浴させてゆく。
椅子に座っている人…車椅子を使っている人…ストレッチャーに乗せられている人…などなど。
入居者はさまざまだが、全員ともすでに衣服は脱がされていて、裸体を覆ってくれるのはバスタオル一枚である。
廊下だから当然、訪問者の目にもさらされる。羞恥心などもともと無視する“介護”が、当然のように日常的に行われているわけだ。
これではさぞかし痴呆も多くなり、介護にいっそう苦労するようになるだろう…サラ金を返すためにサラ金から借金をするようなものだ…と思いつつ、その原因を突き詰めてゆくと、福祉に携わる人手の絶対的な不足はもちろん、戦後50年かけて培ってしまった〔浅はかな効率優先主義〕にたどり着く。
バブル経済が崩壊して以降、いろいろな出来事が噴出している日本。
「すべてを見直す時期にきた」と言われるが、福祉の世界も例外ではないだろう。
(T・S)
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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