2023
12.15
介護を想定しなかった団地の老朽化と高齢化~『入浴福祉新聞 第103号』より~
『入浴福祉新聞 第103号』(平成20(2008)年1月10日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
介護を想定しなかった団地の老朽化と高齢化
東京の多摩そして大阪の千里に代表される[大規模ニュータウン]もいまでは、老朽化と住民の高齢化が著しい。
1960年代から1970年代に、旧住宅・都市整備公団(現在は都市再生機構)が建てたそうした団地が、全国に210カ所もあり、33万家庭が暮らしている。ほとんどが中高年層だ。
ところが、超高齢化時代を見越して建てたわけではないため、トイレや浴室ほかも[要支援要介護対応型住宅]にはなっていない。
そこで、国土交通省は厚生労働省と連携して、建て直しの際には[高齢者対応型]にしたり、改修時にはバリアフリーを大幅に導入してゆく方針を決めた。
また、団地内の空き店舗やスペースには、ヘルパーステーションなどが開設できるよう誘導してゆくそうだ。
しかし、[高齢化老朽化]は、地方自治体系の住宅公社などが建てた団地でも珍しくない。民間マンションを加えると、たいへんな戸数になるだろう。[エレベーターの無い5階建て団地]に暮らす70歳80歳は相当な人数になるに違いない。
「介護福祉の究極は住まい」とされるのだが、30年後50年後を想定してこなかった日本の住宅政策の失敗は、これから噴出する。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。