『入浴福祉新聞 第55号』(平成8(1996)年3月15日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
入浴を嫌がる痴呆患者さんへの対応
ワケを見つめ改善と工夫で8割は納得
自分では入浴が困難な患者さんへの入浴介助・入浴介護が、当たり前のようになったために生じてきた問題があります。
そのひとつが、〔入浴を嫌がる方への対応方法〕です。施設か訪問かにかかわらず、かなりの担当者が悩んだ経験があるのではないでしょうか。
ある介護力強化病院のケアワーカーのみなさんが、とくに痴呆患者さんに入浴を嫌がる傾向が顕著なため、研究を続けたそうです。何しろ、素直に入浴しようとしたり、介助・介護を受けようとする痴呆患者さんは12%にも満たなかった、といいますから深刻です。
こうした状況を改善するため、「なぜ入浴を嫌がるのか」を徹底して調べてみました。すると、衣服が盗まれるなどの「被害妄想」が3割、お風呂は夜に入るものだ、という「戸惑い」が12%だったそうです。
さらに浴室で待たされるのが嫌だ…脱衣所も浴室も滑りやすい…といった介助・介護をする側の「配慮のなさ」が起因するケースと思われるのが20%ぐらいでした。
また、25%の患者さんは、風邪をひいている…生理中だ…などさまざまな理由をあげたそうです。
理由をまったくいわない患者さんは、わずか2割程度だったのです。
一人ひとりの理由を分析し、対処方法を考えたり、実際に自分たちで入浴してみたりして改善すべき点は改善もして、時間をかけて説得すると、やはり8割は納得された、とのことです。
問題は、理由がつかみにくい2割の患者さんですが、やはり一人ひとりに対して、入浴拒否の原因を探ってゆくことで、解決の糸口が見つかるのだと思います。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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