『入浴福祉新聞 第109号』(平成21(2009)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
もっと学びたい温熱療法 足浴効果を高める
頭部に蒸しタオル
訪問入浴介護では、全身浴が難しいと判断された場合、足浴サービスを行う事業所が少なくないようです。
この足浴の効果については、看護の分野では入浴以上によく研究されていて、たいへん喜ばしく思えます。
足を湯につけることで、温熱刺激が皮膚温を高め、さらに血管から血液にも作用し、温められた血液が全身を巡り、副交感神経が優位状態となり、心拍数や血圧、呼吸や脳波が落ち着いた状態に変化し、リラックス効果や入眠作用などが得られることが、さまざまな実験で証明されてきました。
その足浴と局所の温罨法を併用すると、もっと効果が得られるのでは、と横浜市立大学医学部看護学科の山根由生さんが、平成20年度の卒業研究論文で挑戦しました。
題して、「足浴と足浴に温罨法を加えることでの温熱効果の比較」(『平成20年度横浜市立大学医学部看護学科卒業研究論文集』)です。
山根さんは、健康な20歳代の女性6名に協力を依頼。足浴のみの場合と、頸部を蒸しタオルで温めながらの足浴をした場合とを比較してみました
足浴は湯温40℃で10分間継続。蒸しタオルは4分おきに交換しながら、足浴終了まで当て続けました。
そして、開始前~実施中~終了後の経過ごとに、身体各部の皮膚温…脈拍…被験者の感覚…などを記録してみました。
すると、頸部に蒸しタオルを当てた方が、身体各部の皮膚温上昇率が足浴のみより高く、全身の心地良い温かさも優位でした。
また、肩や首のこりが無くなった感じが得られ、実験終了後も温熱の快適さが継続する、との結果が得られたそうです。
蒸しタオルは、家庭の電子レンジで簡単にできますので、ぜひ試してください。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。