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2020 12.25
足浴研究 最新情報~『入浴福祉新聞 第110号』より~

 

『入浴福祉新聞 第110号』(平成21(2009)年10月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

足浴研究 最新情報

 

医療機関でも、全身浴の可否は主治医の許可が必要なためか、よく眠れないと訴える入院患者への睡眠援助として、医療機関の看護師は、足浴をして差し上げることがあります。

この足浴の効果について、看護系の専門雑誌や学会で報告をする看護師が多く、今年の8月に横浜で開催された「第35回日本看護研究学会」でも、何点か注目すべき発表がされました。以下、簡単に内容を紹介しましょう。

足浴も素手が勝る

熊本大学医学部附属病院の徳丸有彩さんら3名が発表したのは、「足浴のケアにおける軍手と手袋着用の違い」です。

20歳代の男子大学生6名に協力をお願いし、40℃のお湯に片足ずつ、湯に足を浸ける~マッサージする~石鹸で洗う~洗い流す~タオルで拭く、といったケアを、片方は素手、もう片方はラテックス製の手袋を着用して実施しました。

そして足浴前後に、体温・血圧・脈拍を測定しました。脈拍は足浴中の1分ごとに測定したとのことです。

すると、体温と血圧は、素手でも手袋着用でも違いがありませんでしたが、脈拍は石鹸で洗う動作とタオルで拭く動作で、素手の方が低い傾向が確認されたといいます。

主観的感覚は、素手の方が全員とも「肌触りが良い」「心地良い」と答えたそうです。

手袋着用では、キュッキュッという音が気になった・・・手袋で触られるのは気持ちがいいものではない・・・自分が汚いものみたいだ・・・との意見が聞かれたそうです。

感染防止のため、ケアの際に手袋を着用する機会が増えている昨今ですが、相手がどう感じるかも配慮する必要があるようです。

足浴は転倒予防に有効

大阪大学大学院の本多容子さんら7名は、「女性高齢者に対する転倒予防ケアとしての足浴の有効性の検討」を報告しました。

平均年齢73歳の女性20名を対象に、足浴前と後の背屈角度、荷重最大値、軌跡長などを計測したのです。

すると、足浴後にはすべての測定値が増加・延長することが判りました。

足関節の背屈角度は、歩行時のテコの力、荷重最大値は歩行時の蹴り出し、軌跡長は推進力、などに関係するといわれ、これらの値が縮小すると転倒しやすくなるといわれています。

足浴をすると温熱効果によって足の伸張性が高まり、可動域も拡大して、転倒予防につながる、と本多さんらは結論づけています。

足浴で脚の不快感解消

日本赤十字九州国際看護大学看護学部の姫野稔子さんら4名は、「在宅高齢者の介護予防に向けたフットケアの効果の検討」を報告されました。

デイサービス利用者11名の協力を得て、事前に足の状態や歩行機能などを調査した後、週1~2回計10回の足部のヤスリがけや足浴、マッサージや足部運動などの総合的なフットケアを実施したそうです。

その結果、活動性が向上して、転倒不安感も軽減、足のしびれ・・・冷え・・・むくみ・・・つり・・・倦怠感・・・などが消失したり軽減し、下肢血流量や酸素供給量が増加して、足の皮膚表面温度も高くなりました。

さらに、足の角質が除去されたことで、感覚が呼び戻されたり、開眼片足立ちの保持時間が長くなり、歩行速度も改善され、ほとんどの高齢者の歩行機能が総合的に向上したそうです。

冷え性に温冷足浴

北海道大学医学部保健学科の中田麻里さんら3名は、「冷え性者への足部交代浴の有効性の検討」という斬新な研究成果を披露しています。

平均22歳の冷え性の女性12名が被験者となり、40℃の温水と15℃の冷水を、交互に使う交代足浴を実施したところ、温水4分~冷水1分を4回繰り返し、最後に温水4分の仕上げをする方法が、足部や下肢全体の保温効果が著しくなり、全身の温度感覚や快適さが優位だったとのことです。

訪問入浴介護でも、全身浴が難しい場合、足浴をして差し上げるケースが多いようです。足浴の効果は近年、さまざまな角度から検討が行われ、安全・安心・快適な温熱ケアとして注目されていますので、ぜひ足浴のテクニックも極めて訪問されることを期待しています。

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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