『入浴福祉新聞 第90号』(平成16(2004)年11月15日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
実は入浴剤を使用!水道水や井戸水も!
詐欺まがいで温泉地は大揺れ愛好家は激怒
情報開示の制度化と温泉法の大改正が必要
温泉地が激震している。ご承知のように、この7月、あまりにも有名な長野県白骨温泉の一部の旅館やホテルが、白濁する入浴剤を使用していた秘密が発覚。
マスメディアも大々的に報道するなか、今度は、群馬県の伊香保温泉や水上温泉、福井県芦原温泉、山梨県の石和温泉、などなどの一部の旅館やホテルが、水道水や井戸水を〔温泉〕と偽っていた、というのである。
しかも、入湯税まで取っていたというのだから、もう温泉愛好家は激怒しながら、開いた口が塞がらなくなったに違いない。
ここまでくるともう、天然温泉かけ流しを宣伝しながら、源泉に塩素を混ぜながら、何度も使用する・・・源泉量少ないので水道水を混ぜる・・・といった程度のことは〔微罪〕になってしまう。
実は、この〔白骨温泉入浴剤事件〕が発覚するおよそ1か月前、温泉地を管理監督する環境省の検討会「温泉の保護と利用懇談会」が中間報告を発表。①大深度掘削と源泉枯渇の心配、②レジオネラ菌による温泉の衛生不安、③天然温泉といった表示の信頼性への疑問、といった3点を指摘しながら、対策を考えるよう進言したばかりだった。
今回の〔インチキ温泉事件〕とりわけ、白骨温泉では、理温泉旅館組合の組合長でもある村長が経営する旅館の行為だけに、村長が辞職しただけでは済まないほど、ここの温泉地のダメージは大きいだろう。
温泉ファンは、まずは行きたい温泉地を選ぶからである。
こうした詐欺まがいや不当表示が横行し始めてしまったのも、慢性疾患に長いこと悩んだり、心身の不調を訴える国民が多くなり、温泉を頼みの綱にする人が多くなったためでもある。
ところが、温泉を医療や保健の視点から、抜本的に見直す動きにはいたっていない。本当に源泉100%のかけ流しなのか?水道水を何%加えているのか?などなど、多くの項目を情報開示をすべき、との指摘がありながら何故か腰が重い。
「25℃以上のお湯なら温泉」「低温でも特定の成分が一定以上ふくまれていれば温泉」を表示できる旧態依然の『温泉法』の大改正も俎上に乗る気配はない。
〔インチキ温泉事件〕は、日本の温泉療法を、ヨーロッパに負けないくらいの内容にしてゆく絶好のチャンスだと思うのだが・・・。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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