『入浴福祉新聞 第6号』(昭和59(1984)年3月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
公衆浴場が低温化 「熱くて入れぬ」とヤング
公的機関が調査し統計をとったわけではありませんが公衆浴場の湯温が大都市を中心に低温化傾向にあるそうです。
日本人の熱風呂は世界的にも例がなく、公衆浴場法の都道府県条例では「42℃以上」と決められています。
しかし、ヤングを中心に「熱い風呂は身体に毒」との医学的知識が普及し、高温入浴が嫌われだしています。
東京のあるお風呂屋さんは「下町以外は40℃ぐらいになっているのでは」と言うほどです。
「42℃以上」となぜ定められたのか、関係者の誰一人として知らないミステリーですが、一説によると、戦後まだ浴場の衛生が不充分だった頃、性病などの感染が防げるだろうと設定されたとか。
病原微生物の死に湯、つまり42℃というわけで、厄年と同じ語呂合わせなのでしょう。
むろん、ばい菌退治はそう単純ではなく、俗説・迷信の域を出ません。
東京都公衆浴場組合のある幹部氏は「現在どの公衆浴場も殺菌ろ過装置を通して湯を巡回させていて、以前とは比べものにならないほど清潔。だから湯温と細菌を論じてもあまり意味がない」と語り、私見として「確かに42℃は熱い。せいぜい41℃でいいのでは」と付け加えてくれました。
浴室の透き間風は昔の話、脱衣所も暖房完備の時代です。
全身を火照らせて家路を急ぐなどアナクロもいいところでしょう。
とくに最近の若い人は微温浴をしてジックリ安眠型になっているようです。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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