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2018 06.29
入浴の歴史ものがたり⑤~『入浴福祉新聞 第29号』より~

 

入浴福祉新聞 第29号』(平成元(1989)年12月20日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

入浴の歴史ものがたり⑤

立井 宗興

 

古代と近世の過渡期にあたる中世は、ヨーロッパでも日本でも、人々の交流が活発化し、エネルギーに満ちあふれた時代だった。そのため、新しい文化や習慣が育ち定着していった。

 

入浴に関しても同様である。

 

 

奈良時代に光明皇后が創始したといわれる「施浴事業」が隆盛を迎えるのは、実は鎌倉時代なのだ。

源頼朝は、後白河法皇崩御の年、鎌倉山の浴堂で、追善供養のための「施浴」を執行している。

1日100人のペースで100日間続けるというおおがかりなものだった、と伝えられている。

また、北条政子の病没の年からは、毎月の厄日を施浴日と決め、行政制度にまで高められたという。

 

 

一方、東大寺再建に活躍した中世の高僧重源も、関西や関東の寺々に、浴室や湯釜を寄進している。瀬戸内海に注ぐ佐波川沿いに、木材運搬人のための保養、病気やケガの治療施設として、石風呂を建てた話も有名である。

重源は、仏教の普及に東奔西走しながら、入浴による保健衛生と養生の思想を、日本人に植え付けた立役者といえるだろう。

 

 

さらに、曹洞宗の開祖=道元も「洗浄」を仏法のなかで重要視し、日本人も顔を洗うようになったのは、彼の教えによるものともいわれる。禅宗がことのほか入浴作法に厳しい事も、特記しておきたい。

 

 

貧富の差なく入浴の機会が与えられるようになると、足利時代あたりから、町中に、寺院建築の様式を借りた「町湯」も出現してゆく。

 

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

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