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2021 09.03
世界各地の温泉の活用 イタリア ~『入浴福祉新聞 第124号』より~

 

『入浴福祉新聞 第124号』(平成25(2013)年4月1日発行)より

  過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

  発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

世界各地の温泉の活用

「テルマエロマエ」の国、イタリアでは…

公的保険も適用される「ファンゴ(温泉泥)」セラピー」のご紹介

 

昨年人気を博した映画「テルマエロマエ」。その舞台となったイタリアには伝統的な温泉療養があることをご存知でしょうか。それは「ファンゴ」という温泉泥を活用したセラピーです。イタリアでは公的保険にも適用されていることもあり、温泉療法の花形メニューとして非常に人気があります。

ファンゴセラピーはイタリア全土の温泉地で施術されていますが、ベネチアにほど近い学園都市、パドバ県・アバノテルメ(温泉地)で作られているファンゴが、最も品質が高いといわれています。アバノのファンゴは、近郊の丘陵地にあるリスピダ湖の堆積泥を使って作られ、パドバ大学が定期的に品質管理を行っていることと、ファンゴで重要視されている「温泉」「泥」「微生物」の三要素がそろっているためです。

年に一回、湖より堆積泥が汲み上げられ、アバノテルメにある約100の温泉ホテルに供給されています。この時大学が品質の指標にしているのが、堆積泥の微生物(珪藻類)の殻(死骸)です。ミネラル分豊富な堆積泥を使うことが質の高いファンゴを作る重要な要件です。大学は各温泉ホテルのファンゴを採取し、含有物質の構成比から堆積泥以外の泥を添加していないか調べているのです。

更に微生物のファンゴへの関心はこれだけではありません。ファンゴを熟成する過程で増殖するラン藻類(緑の藻)の代謝産物には抗炎症作用のエビデンス(効果効能)があるとして、大学の医学部を巻き込んでの研究が行われ、アバノテルメと中央温泉研究所が共同で国際特許を取得しています。

しかし、イタリアにある全てのテルメが堆積泥を使ってファンゴを作っていたり、ラン藻類の代謝産物に注目しているわけではありません。むしろアバノだけが、イタリアでも大変特殊な位置づけにあると言えるでしょう。

それではイタリアの他のテルメはどのようにファンゴを作っているのでしょうか。ほとんどのテルメでは数種類の天然鉱物と温泉を混ぜて熟成し、その過程で発生する温泉微生物を温泉成分と共に泥に吸着させて作っているのです。ここで言う温泉微生物とは、前出したラン藻類だけではありません。どんな環境や温度の温泉の中にも必ず微生物は生息していますが、それらを泥の内部で養生させることが、ファンゴを製造させることだと考えられております。

更にイタリアのテルメ内の温泉ホテルには、必ず温泉療法医が常駐しています。イタリアで温泉療養はファンゴの他にインハレーション(温泉の吸入)、飲泉、温泉プールでの水中運動等がありますが、こうした各種療法の処方箋を書くことがこの温泉療法医の役割となっています。

そのためイタリアのテルメと温泉ホテルは、療養を前提とした滞在型の仕様になっています。テルメには温泉ホテルだけではなく、ショッピングエリアや公園、遊歩道、そして映画館や劇場等の娯楽施設等、そこで一定期間生活するために必要な施設が全て整っているのです。

イタリアのテルメに滞在すると、病気や寝たきりにならないように、自ら前向きに生き生きと療養している高齢者を必ず目にすることになります。日本では決して見ることのない光景ですが、彼らが大変穏やかで平和な雰囲気を醸し出していたことが本当に印象的でした。

ただ、日本で見る事のない景色と述べましたが、このファンゴによる効果に注目した企業、団体も創設されつつあります。近い将来、日本国内でも各地の温泉地の泉質、泥質を活かしたビオファンゴの療養地がたくさん誕生するかもしれません。

 

 

 

 

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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