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2020 09.25
もっと着目したい〔タラソテラピー〕~『入浴福祉新聞 第103号』より~

 

『入浴福祉新聞 第103号』(平成20(2008)年1月10日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

もっと着目したい〔タラソテラピー〕

温泉と同様に海洋は日本の豊富な健康資源

 

日本人に〔海水浴〕を勧めたのは、明治時代に来日した医師のベルツだった。

ベルツは、〔日本古来の湯治〕を〔近代の温泉治療〕へと発展させる提言などを行ったが、海に囲まれた温暖な日本は、自然療法の宝庫であり、〔海水浴〕もそのひとつとして着目した。

しかし、〔近代の温泉治療〕も〔海水浴自然療法〕も、明治以降は西洋医学一辺倒の時代が続き、関心が薄れてゆくのだが、最近ようやく、〔タラソテラピー〕という言葉がよく聞かれるようになった。

ギリシャのタラソ(海)とフランス語のテラピー(治療)を合わせた造語で、フランス人医師が1867年に提唱して以来、同国やドイツなどヨーロッパ諸国では、治療目的に利用する国民が増加していった。

海水をはじめ、海泥や海藻には、塩化ナトリウムだけでなく、カリウム、マグネシウム、ビタミン、ミネラル、植物性ホルモンなどなど、実にさまざまな身体にいい物質が含まれていて、適度な温度にして入浴したり、皮膚に塗ったり、入浴剤として利用すると、免疫力や自然回復力が向上するからである。

〔海の恵み〕に加えて、海洋性の気候が心身にも好影響を与えるため、風光明媚な温泉地と同様、療養にはもってこいの場所は、日本には随所にある。

そのため、国内にも〔タラソテラピー施設〕が誕生しているのだが、残念ながらまだまだ日本では、観光と美容目的がほとんどで、医療施設としての関心は高まっていない。同じ海水でも、200メートル以降の海洋を流れ続け、日本列島の限られた海域に上昇する〔海洋深層水〕が、急激に着目され始めている。〔海洋深層水〕は、太陽光が届かないため酸化されていなく、おまけに清浄。栄養分も豊富に溶融している。そのため、〔海洋深層水〕の飲み物や、加工食品は、美味さが格段に違うといわれる。

この〔海洋深層水〕を利用した〔タラソテラピー〕にも期待が高まっているのだが、すでに〔海洋深層水の温浴施設〕が、沖縄や高知、富山や神奈川などに誕生しているものの、その医療的効果は研究されていない。

しかし最近、富山県衛生研究所と富山医科薬科大学が、同県の『タラソピア』で共同研究に乗り出している。

研究グループは、〔海洋深層水〕を39℃にして入浴すると、かなり副交感神経優位の状態が得られ、しかも筋の硬度も顕著に低下して、心身のリラックス効果は抜群、といった報告をしている。

海洋を健康資源と考えれば、日本ほど恵まれている国はない。医療関係者は、海洋にもっと目を向けてほしい。

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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