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2020 11.20
お風呂で発作!てんかん患者を入浴時の事故から守ろう~『入浴福祉新聞 第108号』より~

 

『入浴福祉新聞 第108号』(平成21(2009)年4月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

お風呂で発作!てんかん患者を入浴の事故から守ろう

 

学会と協会がシンポジウムで呼びかけ

高温浴で体温上昇し大脳の異常放電誘発か?

 

〔高齢者の浴室死亡事故〕が社会問題になるなか、てんかん患者も浴室で事故を起こしているケースが少なからずあり、専門医も注意を促すようになりました。

てんかんは、大脳組織での刺激で異常な放電により、意識消失や痙攣などの発作がおきる病気で、国内には100万人の患者がいると推定されています。

多くのてんかん患者は、その原因が明らかではありませんが、80%は18歳までに発病するとされてきたものの、高齢社会を反映して脳卒中患者の発病も増加しているとの報告もあり、高齢者ケア関係者も無関心ではいられなくなってきました。

薬剤が進歩して、かなりの患者が発作を抑制できるようになってきたとはいえ、いつどこで発作が起きるか予測できない不安と緊張をもって生活しています。

専門医らで組織している日本てんかん学会では、一般の方にもこの病気を理解していただくため、社団法人日本てんかん協会との共催で「市民公開講座」を開催していて、昨年10月19日(日)には、東京女子医科大学や良い記念講堂で、「てんかん患者さんをお風呂場での事故から守ろう」と題したシンポジウムを開催し、浴室事故に警鐘をならし、防止対策も呼びかけました。

シンポジウムでは、京都第二赤十字病院の長村敏生小児科副部長の「てんかん児の入浴事故」、聖母病院の粟屋豊小児科部長の「入浴事故実態報告」、長野県山ノ内消防署の塚田一男署長による「救急隊からみた入浴中の事故」、東京ガス都市生活研究所の宮城禎信主幹研究員の「入浴の効果と安心な入浴を楽しむために」といった講演や報告がされ、看過できない実態にあることを教えられました。

てんかん患者の浴室事故は、高齢者の浴室事故ほど調査研究が行われてはいないものの、2008年に日本てんかん協会が全国の支部に協力を依頼したところ、21件の死亡事故を含めて29の事故事例が集まっています。年代では20歳代の事故が多く、発生時期は冬と春に集中していることも浮かび上がりました。

同協会では、この調査以前にも〔入浴時のてんかん発作〕に関するアンケートなどに取り組んでいていて、てんかん障害者入所施設では職員の多くが〔患者の入浴時発作〕に遭遇していること、発作場所は浴槽内、洗い場、浴後の脱衣室それぞれ3分の1ずつであること、浴室で発作を起こして溺れかかったことがある患者は10%に及ぶ、といった実態が集積され始めています。

てんかん患者が入浴時に発作を起こす生理的メカニズムまでは研究されていませんが、高齢者の入浴事故と同様、高温入浴による体温上昇が誘発するとも推定され、高温のお湯に長時間入ることは絶対に避ける…浴槽内での発作を考えてお湯を少なめにするか、シャワー浴にする…家族が留守の時には入浴しない…とくに子供だけで入浴はさせない…といった注意をシンポジウムでも呼びかけていました。

てんかん患者も入浴が大好きですので、浴室で事故など起こさないよう入浴介護関係者も、関心を深めていただきたいと思います。

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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