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2020 04.03
[入浴で健康]に水を差す[レジオネラ温泉] 循環式給湯装置の衛星を徹底させる制度必要~『入浴福祉新聞 第82号』より~

 

『入浴福祉新聞 第82号』(平成14(2002)年12月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

[入浴で健康]に水を差す[レジオネラ温泉]

循環式給湯装置の衛星を徹底させる制度必要

 

 

劇症型の肺炎などを引き起こす[レジオネラ菌感染症]が各地の入浴施設で発生するようになり、いっそうの警戒が必要なってきました。

この7月には、宮崎県日向市の温泉施設で100名近い利用者が感染し、半数以上が入院、9月15日までに7名が死亡する国内最悪記録の大惨事となり、浴槽の関係者にも強い衝撃を与えています。

[レジオネラ菌感染症]については、[入浴と衛星]の問題に取り組んでいる茨城県立医療大学の小池和子教授(日本入浴福祉研究会理事)が、全国入浴福祉研修会の抗議などでかなり早くから警告をしてきました。

一人ひとりの利用者に新しいお湯を使用する訪問入浴サービスでは、まずレジオネラ菌の感染は考えられませんが、施設入浴ではやはり注意が必要ですので、基礎的なことはぜひ知っておきたいものです。

もともとレジオネラは、身近な土壌や水中などに生息する常在菌で、20℃から50℃の環境のなかで条件が合うと繁殖し、36℃ぐらいで最も活性化するといわれています。

しかし、日和見菌で毒性は弱く、普通に健康な人が感染してもまずは発症はせず心配はいりません。ところが、高齢者や乳幼児、病気中の人など、抵抗力の弱い人に感染すると暴れ出し、発熱や吐き気、咳や悪寒、胸痛や呼吸困難などをともなう肺炎症状となり、進行も早いため、発見や治療が遅れたりすると死亡するケースもあります。

この菌の集団感染が発生したのは昭和51年で、アメリカフィラデルフィアのホテルで開催された在郷軍人大会の会場でした。大会参加者の多くが重い肺炎を発病し、29名が死亡する事件が起きたのです。

原因調査の結果、ホテルの空調機の冷却塔にレジオネラ菌が繁殖し、そこから会場に菌が送られて飛散していたためでした。

この事件を機に、各国の専門家が新興感染症としてレジオネラに注目するようになり、日本でも散発的な発生が始まりました。

身の回りにある設備でレジオネラ菌が発生しやすいのは、空調機の冷却塔や入浴施設の循環給湯装置、それに給湯器などですが、とりわけ最近問題になっているのが浴槽の循環給湯装置です。

街の公衆浴場やスーパー銭湯、温泉などのほとんどが、現在では循環給湯装置を使用していて、浴槽の湯を再利用しています。垢や体毛などをフィルターなどで捕捉したり濾過した後、塩素系または酸素系の殺菌洗浄剤などで清浄にして再び浴槽に送るシステムです。

ところが、この循環装置や給湯パイプには、[ヌメリ]が付着します。この[ヌメリ]は一般家庭の浴室などで誰もが[気持ち悪いモノ]として体験していますが、これはアメーバなどの増殖膜で、このアメーバの内部にレジオネラ菌が生息している可能性が高いのです。

この[ヌメリ]を放置しておくと、アメーバに守られながらレジオネラ菌が大繁殖してしまいます。この[汚れたお湯]が浴室内で水滴となって飛び散ったり、霧状になりますから、それを吸入すると感染が成立してしまうわけです。そのため、ジェットバスや打たせ湯などで、湯を飛沫にしている浴室は、浴湯がかなり清潔でないと要注意、となります。

一時期、いつでも入れる家庭用の24時間風呂でレジオネラ菌感染症が発生して、大問題になりましたが、家庭用の小規模な装置では、とてもお湯を清浄に保ちながら再利用するなど不可能です。識者の多くは「危険きわまりない装置」と断言したのはこうした理由からです。

浴湯の装置は、家庭用のそれとは規模が違うとはいえ、装置の清掃と正しい殺菌方法を常に行っていなければ、アメーバとレジオネラ菌は確実に繁殖してしまいます。

事実、国立感染症研究所と全国14の衛生研究所が昨年の秋から237カ所の温泉やスーパー銭湯などを調査したところ、約64%の施設のお湯からレジオネラ菌の温床となるアメーバが検出されました。

厚生労働省ではすでに、『循環浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル』を策定していて、清掃と殺菌の順守を呼びかけているのですが、入浴施設側にレジオネラ菌に対する認識不足があれば、防ぎようがありません。

宮崎県日向市の温泉施設でも、7月1日にオープンして以来、装置の衛生管理を怠っていたらしく、施設のお湯からは厚生労働省が定めた基準の最大で15万倍のレジオネラ菌が検出されたそうです。

しかも、日向保健所から何度もしつこいほど営業自粛を含めた警告を受けていたにも関わらず、それをまったく無視し、塩素殺菌を実施した形跡すらなかった、というのです。

今回の感染事件で事態を重くみた厚生労働省は、全国約12万軒に達する入浴施設や温泉旅館などの責任者が参加する〔レジオネラ感染症と予防の研修会〕を実施するよう都道府県や保健所に対して要請しました。

そして、循環装置や給湯パイプ内にアメーバの塊などができていないかを調べるファイバースコープを、2007年度末までに全国約580カ所の保健所に備える方針を決めました。それだけ状況は深刻になっています。

洗浄と殺菌を徹底すべき、とはいっても、漢方薬系の入浴剤などを使用している場合は、塩素系殺菌剤の効果が薄れてしまいますので、使用方法を熟知しなければなりません。

また循環装置やパイプなどのヌメリを完全に除去しなければ、アメーバに隠れたレジオネラ菌は退治できない、といった難しい問題もあり、かなり高度で専門的研修会が不可欠なようです。

高齢時代を迎えて、〔老人医療費の抑制〕が国家的な課題となり、「入浴で病院通いを減らそう」との声が高まってきました。先進的な自治体では、地元の温泉を活用した高齢者保険事業に積極的な取り組みを始めています。

入浴施設でのレジオネラ感染症が話題になるたびに不安は増幅し、「入浴の際の湯の衛生面に不安を抱くようになった」と答える浴場利用者が半数近くに達している、とのアンケート結果も出されているほどです。

公衆浴場もサウナもスーパー銭湯も温泉も、〔湯の衛生〕に充分過ぎるほどの注意を払うと同時に、強制的な水質監視体制を設ける必要が出てきたのかも知れません。

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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