『入浴福祉新聞 第48号』(平成6(1994)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
最近目立つ女子高生の卒業旅行は温泉にノンビリ入って思い出お喋り
縛られ…駆け続け…疲れて…早くも老化?
女子高校生の間にも、春休みの卒業旅行が流行し始めているそうですが、「元気にハシャグのではなく、まるで虚弱高齢者の親睦旅行…旅館の温泉につかって、思い出話にふける…」といった興味深い行動スタイルを、新聞が伝えていました。
大学生の卒業旅行は、いまやジョーシキになった感があるそうですが、それがここ2~3年から女子高校生の間に広がってきたそうです。
予算は約30000円強で1泊2日。5~6人で出かけるケースが多いのですが、行先で人気があるのは、ナント温泉!
関東なら神奈川県の箱根が“定番”で、2・3月に温泉場へ行ってみると、女子高校生のグループにたくさんお目にかかれるそうです。しかも、“昔”の若い女性のように、旅先でサイクリングに汗を流したり、テニスに興じたり、といった姿は見られず、旅館からほとんど出ないで、何度も温泉につかったり、カラオケをしたり、あとは部屋でお喋りをする、という過ごし方がほとんどなのだそうです。
3年間、キメ細かな校則に縛られ…苦手な人間関係に神経を酷使し…点数獲得競争に駆り立てられ…過剰消費社会の一員としてアルバイトに奔走し…という挙げ句の果ての[疲れ]を[癒す]かのように、とにかくなーんにもしないのが大きな特徴、と伝えられています。
こうしたトレンドを、「温泉の効用を若い世代も認識するようになった」とみるべきでしょうか、「戦後から今日までの急速度狂奔社会への無意識的批判。ニューライフスタイルの模索的動態」ととらえた方がいいのでしょうか、はたまた「やはり現代の若者は老化していて、短命化が始まっている」と考えざるを得ないのでしょうか?
いろいろな見解が可能ですが、時代を鋭敏に察知し、投影する若い世代の行動だけに、単なるハナシとして聞き逃すわけにもいかないように思えます。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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