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2021 07.09
入浴と排便の関係~『入浴福祉新聞 第122号』より~

 

『入浴福祉新聞 第122号』(平成24(2012)年10月1日発行)より

  過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

  発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

高橋ドクターのちょっと豆知識

入浴と排便の関係

 

 

消化器外科とおならの関係をご存知ですか?

おならと外科医と何の関係があるのだと、言われるかも知れませんね。

私たち消化器外科の専門医が他の外科医と大きく異なる点は、手術のときにある臓器を切り取った後(切除と言います)に再建と呼ばれている臓器をつなぐ仕事があります。たとえば、胃を一部切り取った患者さんには残った胃袋と小腸をつなぎ、胃を全部切り取った患者さんには食道と小腸をつなぎ、大腸を切り取った後に大腸と大腸または小腸と大腸をつなぐとか、何らかの手術をしなければ口から食べたものは通過しなくなってうんちが出なくなってしまいます。

手術の後につなぎ合わせたところがうまく動いているかを知るための手段はおならなのです。

おならが出ないということは、つないだところがうまくつながっていないか、または他の原因で腸が動いてくれていないのか、どちらにしても命にかかわることです。おなかの手術をした患者さんに必ず医師がおならは出ましたかと尋ねるのは、消化器外科医として一番大切な質問なのです。

さて、皆さんも便秘の時には下剤を服用することと思います。この下剤は大きく緩下剤と刺激性下剤・その他の下剤の3つに分けられます。

さらに緩下剤は塩類下剤・膨張性下剤・浸潤性下剤は小腸刺激性下剤と大腸刺激性下剤に分けられます。その他の下剤には検査用の下剤や浣腸などがあります。大腸刺激性下剤を飲むと効かなくなって来たり、膨張性下剤ではより便が硬くなったり、膨張感や吐気が出ることが知られています。また、漢方のお薬も効果があります。面白いことに、漢方薬には下剤はあっても下痢止めはありません。悪いものとして出してしまえば病は治ると考えられていたのでしょう。

この漢方の中でも面白い薬があります。大建中湯は緩やかに腸を動かすことが知られています。ある種の便秘には効果があります。よく見ると成分はすべて温めるものです。生姜も高麗人参も山椒も体を温める効果が知られています。お腹を温めると便は出やすくなるのです。

したがって入浴は体が温まることによって、便の排出を促す効果が大きいということが言えます。体の循環がよくなった結果、腸管への血流も増えて腸の蠕動運動が活発になり便を直腸に送りやすくなります。

また、入浴は気分がよくなり、副交感神経支配臓器のうち迷走神経を介する臓器(心・肺・肝・胃・小腸・大腸)が活発化することが知られています。

二日酔いの時に少しぬるめのお湯につかると、回復が早くなるのはそのせいかもしれません。泥酔しているときの入浴が危険なのは、より心臓に負担をかけますし、入浴によってアルコールの吸収がよくなりますので、血中アルコールが上昇し脳へアルコールが大量に行くことにより、呼吸が停止することもあり得ます。急性アルコール中毒です。溺れることもあります。決して泥酔しているときの入浴はしてはいけません。

お腹を温めると便が出やすくなるし、お腹の痛みや下痢の予防にもなるのでお腹を冷やすなと昔から言われているのは、理にかなっていることなのですね。腹巻はお腹をしまう場所ではなく、そうゆう意味で使っていたのですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

 

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