『入浴福祉新聞 第49号』(平成6(1994)年10月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
カラダの防御膜=角質層を破壊するゴシゴシ洗い
高齢者やアトピー性皮膚炎には禁物です
保湿性の入浴剤やクリームで補助を
デベロ研究所の『入浴福祉基礎講座』に参加された方は、講師が「肌はゴシゴシ洗うものではありません。
とくに高齢者には禁物です」強調していたことを覚えていると思います。
最近はアトピー性皮膚炎が国民病といわれるまでに蔓延し、高齢者に限らず、幼児から中年までが、入浴の時のカラダの洗い方に注意しなければならなくなりました。
私たちの皮膚は、外界の細菌などをカラダに侵入させないために、角質層で覆われています。
この角質層は、レンガを積み重ねたように何重にもなっていて、その細胞と細胞の間には、脂質や、水をたっぷりと含んだアミノ酸やタンパク質などの〔保湿因子〕が詰まっています。
しかし、高齢者やアトピー体質の人は、この角質層の脂質や保湿因子が少ないのです。
そのため、洗浄力の強い洗剤を使ったり、ゴシゴシと泡だらけになって洗ったりすると、なおさら脂質や保湿因子が減少して、カサカサの肌になり、カラダを防御する角質層の機能そのものを低下させてしまいます。
皮膚が乾燥しますと、痒みも生じますから、掻きむしったりして余計に悪化してゆく危険もあります。
皮膚に付着した通常の汚れは、お湯で洗い流したり、少量の石鹸で洗えば取り除くことができますから、ゴシゴシ洗いはまったく必要ありません。
逆に気を使いたいのは、高齢者やアトピー性皮膚炎の方の皮膚の保湿です。
入浴剤でも、保湿作用のあるものを利用したり、入浴後に保湿クリームで手当てをするなどをして、劣化した角質層の防御機能を補助してやりましょう。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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