『入浴福祉新聞 第84号』(平成15(2003)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
[訪問入浴サービスと感染予防]その②
介護浴槽は1回ごと清浄なものを使用する
訪問入浴サービスでは、入浴車から供給される新しい浴湯を、一人ひとりの利用者に使用しますので、入浴施設などで最近問題になっているレジオネラ感染症などの心配はまずありません。
ただし、入浴車の水タンクに何日も溜め水をしますと、雑菌が繁殖する場合もありますので、一日の業務が終了しましたら、必ず水抜きをすることが大切です。
溜め水をして雑菌を繁殖させない限り、介護浴槽の浴湯は清浄ですが、利用者の入浴によって浴湯はかなり汚れます。
[訪問入浴介護の衛生管理]について早くから研究に取り組んできた小池和子茨城県立医療大学教授の調査によりますと、浴湯の汚れ具合は、利用者の日常の清潔保持の程度や、入浴頻度などによって異なるものの、1mlあたり10,000個や20,000個の一般細菌が発見されることは珍しくなく、利用者によっては200,000万個に達することもあることが判りました。
この浴湯の汚れは、毎日のように入浴している健康な人のざっと100倍から1000倍になるほどです。
浴湯が汚れますと、当然その汚れは利用者本人のカラダや介護者の手などに付着します。利用者の湯上がりシャワーは念入りに行い、介護者も入浴介護の終了後は手指をよく洗って消毒するのはそのためです。
では、介護浴槽はどうでしょう。浴槽にも浴場にも汚れが付着します。小池教授の調査では、浴槽表面のわずか10㎠あたり、少ない場所で50個、多いところでは1000個の一般細菌が平均的に確認されるそうです。
介護浴槽は利用者が共用しますので、汚れたまま次の利用者が使用しますと、感染の危険性があるため、浴槽は1回の終了ごとに清浄にする必要があります。
しかし、洗剤による洗浄だけでは浴槽に付着した一般細菌をゼロにすることはできません。薬剤で除菌や消毒をしてはじめて、清浄な浴槽にすることができます。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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