『入浴福祉新聞 第76号』(平成13(2001)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
[医療的な課題]の比重を増している在宅介護
「福祉の世話にはならないヨ」と宣言していても、しだいに身体の自由はきかなくなり、絶望的な気持ちにすらなってゆく高齢者が大勢いる。そうした方々を、ケアマネジャーとして訪問して一年以上が経過した。
訪問調査の予約電話をする時も、玄関のチャイムを鳴らす時も、深呼吸をする癖がついてしまった。もう少し肩の力を抜いたら・・・と自分に言い聞かせているのだが…。
訪問調査では自分と本人や家族との間に、不信感やわだかまりが生じたら正確な調査が行えない。本人や家族に[打ち明けてもらう]のがケアマネジャーの大切な仕事なのだ。
調査項目には、プライバシーにかかわること…本人からは言いにくいこと…家族からは聞きにくいこと…などがある。初対面から[打ち解けて話をしていただく]という責務を負っている。
そのため、人生の大先輩として心から尊敬し、失礼のないように自宅に上がらせていただき、[談話]をしながら必要なことを共に考えるように心がけてきた。
それにしても、医療が福祉を取り巻く環境を激変させてきた、と痛感する。命を救い病気を治す[急性期の技術]は進歩し、[回復期の早期リハビリ]も随分と行われるようになってきたが、障害は残る。それも大きな障害が少なくない。命はとりとめ、病気は克服できたが、重い障害を背負って生活しなければならないのである。
私は、介護認定調査とケアプランの作成も仕事にしているが、単純にニーズを引き出すのではなく、本人ができないコトに対して、どのような援助が必要なのかを熟慮することにしている。また、ケアプランの作成では、[ケアミックス]をじっくり考えながら、不足するコトを発見するように努力している。
複数のサービスを[巧みに組み合わせる]ことが、本人により良い生活を保証し、家族の負担も軽減させる。それがケアマネジャーの大切な責務だ。そして、サービス提供事業者間の連携も深まるよう、しっかりと仲立ちをしたいと思っている。
このなかではやはり、一人ひとりの身体と疾病を熟知している主治医の役割は重要だ。そのため私は、ケアプランの作成依頼があると、必ず主治医を訪ね、医療のプロの目から在宅介護全般への所見をうかがうことにしている。
こうした積み重ねが、[医療的な課題]の比重を増している最近の在宅介護の質をあげてゆくと思う。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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