『入浴福祉新聞 第103号』(平成20(2008)年1月10日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
バスタブ浴のアンチエイジング効果
シャワーでは得られないお肌の健康
さまざまなテーマで〔快適ライフをおくる知恵〕を提言している東京ガスの都市生活研究所は、入浴の科学的研究にも熱心に取り組んでいることでも知られています。
その研究員の代表格でもある早川美穂さんが、同研究所のホームページのなかで、「お風呂のアンチエイジング効果」を綴っています。
〔アンチエイジング〕という言葉はずいぶん使われるようになりましたが、〔老化を防止して歳をとっても若々しさを失わないこと〕の意味です。
歳を重ねた女性が最も気になる身体変化は、白髪やお肌といわれます。白髪は染料技術が進歩して、随分と普及していますが、皮膚の加齢変化は最新の医学をもっても、まだまだ難題が山積みしていて、歳にはかないません。
しかも、皮膚の老化を隠すために、化粧品を過剰に使用しますと、皮膚に負担をかけてしまい、さらに老化するという悪循環に陥ってしまいます。
では、お肌をできる限り若々しく保つには何が最適なのでしょう。現在のところ〔上手な入浴〕に優る手段はないようです。
〔若々しいお肌〕とは、潤い…滑らかさ…張り…弾力…血色…など5つが基本で、潤いと滑らかさは、お風呂で皮膚を清潔にして、角質層に水分をたっぷり含ませることで得られます。
角質層に取り込まれた水分は、入浴後たちまち蒸発してしまいますが、浴室は湿度が高いため、角質層の水分蒸発を抑えることができます。とはいえ、入浴後にお肌が乾燥しないよう、保湿クリームでのスキンケアは欠かせません。
お肌の張りと弾力と血色は、皮膚の水分量を保つことに加えて、末梢血管の血行を良くして、酸素と栄養を行き渡らせることで得られます。これも結局は入浴が効果的なのです。
最近の若い女性は、シャワーで済ませる方が多いようですが、潤い…滑らかさ…張り…弾力…血色…といった若々しいお肌を保つための手段としては、ほとんど効果的ではなく、やはりバスタブに入る習慣が不可欠、と早川さんは助言しています。
さて、ついでにお伝えしますと、各地の医師会が発行している雑誌を医学資料室で漁っていましたら、佐賀県の武雄杵島地区医師会が発行している『武雄杵島臨床医学誌』2007年4月発行号に、武雄市民病院の樋高克彦医師が「美肌と保温効果が有名な武雄温泉の保温効果の証明実験について」という論文を発見しました。
1300年の歴史を有し、伊達政宗や宮本武蔵らが好んだとされる武雄温泉は、炭酸水素イオンを多量に含むアルカリ性単純温泉として有名だそうです。
穂高克彦医師は、ボランティア9名の協力を得て、武雄温泉の元湯と水道水を沸かした湯の双方に同一条件で入浴してもらい、サーモグラフィで皮膚表面温度などを測定してみました。
すると、武雄温泉の元湯に入浴した場合は、4時間後でも足元まで保温されていたそうです。
「武雄温泉も、血管拡張や皮膚呼吸の刺激、鎮痛作用や筋緊張の緩和など、多くの治療効果があり、大いに利用して頂きたいと願っています」と樋高克彦医師は論文を結んでいますが、こうした温泉療法に理解を示し、積極的に健康利用を勧める意思が地域医療の先頭にいることを想像すると、たいへん頼もしく思えたしだいです。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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