『入浴福祉新聞 第87号』(平成16(2004)年2月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
乳ガン患者の会に温泉浴場が貸切り
本紙でも二度ほどお伝えしたが、評論家の俵萌子さんが呼びかけて設立された乳癌手術体験者の親睦組織「1・2の3で温泉に入る会」がきっかけで、乳癌患者のネットワークに陽が当たり始めてきた。
この秋には、乳癌を再発した患者さんらのグループ「イディアフォー」(事務局/東京)が、手記集『再発後を生きる』を三省堂から出版した100人も参加している大阪市の「虹の会」では、浴場の貸切りを了解してくれる温泉に出かける旨も伝えられ、長野県の下着メーカー「ブライトアイズ」が4年前に開発した入浴の際に胸を覆う「入浴着」もマスメディアで紹介されるなど、話題にこと欠かない。
癌のなかでも乳癌は、再発と転移がしやすく、それだけ患者の精神的な苦悩は凄まじいものがある。「イディアフォー」では、そうした人たちが集まり、人生を語りながら励まし合う輪を広げている。また、「虹の会」の活動に共感して、貸し切りお快諾する温泉旅館も増えてきたとか。
「ブライトアイズ」が開発した「入浴着」は、ナイロン69%、ポリウレタン31%の早乾性で、浴後にタオルで拭くと浴衣を着てもほとんど濡れず、浴場からそのまま部屋に戻れることで人気が出ているようだ。当初この下着で入浴すると注意されることもあったが、保健所から「衛生上の問題はなし」との許可も頂戴したという。
国民の温泉志向が高まっている昨今、乳癌患者さんへの配慮が全国の温泉地にもっと広がってほしいものである。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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