BATHINGお風呂
2019
11.01
被災者の[連帯感]を再生した共同湯 新しいスタイルで復活できないのか~『入浴福祉新聞 第71号』より~
『入浴福祉新聞 第71号』(平成12(2000)年4月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
被災者の[連帯感]を再生した共同湯
新しいスタイルで復活できないのか
今年は、あの阪神・淡路大震災から5年ということで、マスメディアは随分と報道していました。
その一環として、ある新聞がコラムで、作家の田中康夫さんの話を伝えていました。
田中さんはあの時、バイクに救援物資を積んで瓦礫のなかを走り回ったのですが、「お風呂に入っていないので、ウエットティッシュがほしい」との被災者の要望に目からウロコが落ちる思いがして、口紅や化粧品も救援物資に加えたそうです。
その一方で、「ガスが復旧しなければいいのに…」と祈ったといいます。
といいますのは、被災者の多くが、自衛隊のお風呂や遠方の公衆浴場を利用するなかで、日本人が忘れていた[連帯感]が再生していたためです。
しかし、ガスが復旧して内風呂に入るようになると、それも薄れてしまいました。
さすが作家だけに、鋭い指摘です。やはり日本の共同風呂は単なる物理的な施設ではなく、かなり精神性の高い空間なのです。
とはいっても、公衆浴場がどんどん廃業に追い込まれています。
新しいスタイルの〔共同湯〕が各地にできれば、21世紀の日本人の生き方を探索するうえで重要な仕掛けになるような気がしますが、いかがでしょうか。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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