『入浴福祉新聞 第32号』(平成2(1990)年8月10日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
社協ボランティアの入浴介護なぜできる
まちの風土と人柄も一因?養成講座で必要性訴える手も
社会福祉協議会運営の訪問入浴事業に、なぜボランティアがたくさん集まるのですか?
私たちの町では考えられません。
本紙がよく紹介する“社協ボランティア型”で入浴ケアを実施している市区町村の記事を読んだ方から、こんな質問が出されたことがあります。
移動入浴車による訪問ケアは、昭和47年に始まりましたが、当初は自治体が直営する方法が主流でした。
その後、自治体が社会福祉協議会に委託したり、社会福祉協議会が独自に着手するサービスも増え、市民グループによる取り組み、特養や民間企業への自治体委託なども目立つようになり、まさにその運営方法はバラエティに富むようになりました。
そのなかで特筆すべきは、社会福祉協議会の正規職員とボランティアが、一緒になって運営する入浴事業です。これもその地域によって差があり、管理担当は職員で、保健婦・看護婦・ヘルパー・オペレーターはボランティアという地域。保健婦・看護婦の他はボランティア、ヘルパーだけボランティアなど、さまざまです。
いずれにしても、それができることは、地域福祉の研究テーマにしたいくらい興味深いことですが、本紙でも正直いって、ボランティア参加者の意識分析まではしておりません。
おおざっぱないい方をすれば、人と人とのつながりを重視した“まちづくり行政”、そのまちの人柄や風土、担当者の入浴福祉への情熱などが根底にあり、“社協ボランティア”ができるようです。
福祉ボランティアへの参加を“仕掛ける”ため、養成講座を各市区町村で行っていますが、その場合でも入浴介護を最初から出さず、ボランティアの総論から協力を求めるのも秘訣。
最初から入浴介護の話を持ち出すと、専門性が付きまとうため、根っからの情熱婦人以外は、難しそうだ、と尻ごみをしてしまいます。
総論を講義しながらしだいに寝たきり高齢者と家族の入浴ニーズなどを訴えてゆくと、かなりの受講者が関心を示し、実行に移す可能性も出てくるようです。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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