『入浴福祉新聞 第29号』(平成元(1989)年12月20日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
訪問入浴きっかけに寝たきりゼロ作戦
兵庫県加西市の在宅ケア
1台の入浴車が、地域福祉を盛り上げていった―。
こんな事例の代表が兵庫県加西市です。
同市は人口が約5万3000人、65歳以上が14%を超えています。
「24時間テレビから巡回お風呂カーを寄贈されたのは、昭和57年でした。
当初は入浴ニーズなんかあるのか、との声もあり、たしかに初年度は数名の利用者でした。
しかし、この訪問入浴がきっかけとなり、在宅寝たきり高齢者と家族のかかえる問題を、もっと真剣に受けとめ、市全体で取り組んでいこうとの気運が、いっきょに拡がったのです」
と、同市社協福祉専門員の正中典子さん。
翌年、訪問看護指導が義務づけられたこともあって、社協職員は、市の保健婦や福祉事務所の担当者らと「老人問題検討会」を結成。
その後「処遇検討会」と変え、さらに63年からは「加西市高齢者サービス調整会議」と改称し、メンバーは徹底的に要介護者のいる家庭を「訪ね歩き実態を詳細に把握する」をモットーとして活動を続けてきました。
しかも59年には、福祉機器貸出制度や、市健康づくり推進協議会に、医師会・社協・民生委員・ボランティア・病院・婦人会などの代表が集う在宅ケア推進部会も新設。こうしたネットワークのなかで「寝たきりゼロのまちづくり」とのスローガンも生まれました。
今年3月にはデイサービスセンターも開所し、現在、訪問と搬送の両方式で各々15名が入浴介護を受けており、効果のほども上々です。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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