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2017 12.22
水と人間 その10~『入浴福祉新聞 第12号』より~

 

『入浴福祉新聞 第12号』(昭和60(1985)年7月31日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

水と人間 その10

立井 宗興

 

人間の身体が高温環境にさらされると、体温が上昇しないよう、たちまち体熱の放散を始める。

この熱排出量の約75%は皮膚表面の血管が負っている。

体内に蓄積された熱を血管が集め、毛細血管を拡げて皮膚から外へ放つのだ。

一種のラジエター機能で、ふだんは手や足、顔など衣服で覆わない部位が微妙にコントロールしてくれる。

この3ヵ所はよく洗って垢をためない方がいい、というのはそのためである。

 

 

しかし、皮膚からの放熱量だけで、体温をピタリと調整するのはむずかしい。

被服の程度や体内エネルギーの燃焼度なども体温を調整するのである。

この“発汗による放熱”が全熱排出量の15%ぐらいで、残りは吐息、排尿、排便などによる。

 

 

夏の暑い日は、より裸になって皮膚からの放熱を助けようとするものの、そんなことでは追いつかず、

ジッとしていても1日1~2リットル、歩いたりすると1時間に0.5リットルの汗をかく。

汗の出る汗腺は人種によって違うが、全身に数百万個あるといわれる。

南方の人より日本人はこの汗腺が少なく、しかも多湿国だから、汗が出ても蒸発しにくく、

外気のゴミやチリが皮膚に付着しやすい。つまり、汗の成分と一緒に汚れが汗腺をふさいでしまうのだ。

 

夏の入浴は、この汗腺を清潔にするのが目的である。

 

 

 

 

前の記事

水と人間 その9~『入浴福祉新聞 第11号』より~

 

※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

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