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2022 08.19
高温入浴の習慣は誰がつけたか~『入浴福祉新聞 第135号』より~

『入浴福祉新聞 第135号』(平成28(2016)年1月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

コラム

高温入浴の習慣は誰がつけたか

 

冬場は、凍えた身体を湯船で温めるのが何よりのご馳走な日本人。

そもそも高温入浴の習慣はどこから来たものなのか。「追い炊きしないように」「湯が冷めないように」と諸説ありますが、興味深い記事が株式会社デベロ30周年誌「あゆみ」に掲載されています。

 

『高温入浴の習慣は、この暖房代用の習慣から自然発生的に生まれたものであろう。大人はこの習慣を代々子供に植え付けていったのである。

子供と一緒に風呂に入って、熱い湯を嫌がる子供を肩まで湯の中に浸けて「あと50まで数えたら上がっていいよ」、こんな入浴教育をしたのが親たちである。そんな親たちも子供の頃肩を押さえつけられた人たちである。

高温入浴習慣がこのように引き継がれてきた。

風呂屋、銭湯を開業するときは、地区保健所に届け出て許可を受けなければならない。そこには公衆浴場法とこれに関連する基準等があって、合格しないと開業ができない。例え許可されても、この法律を守らないと営業停止や許可取り消しが実行される。

高温入浴の習慣をつけさせたのもこの公衆浴場法でもあるだろう。浴槽内の温度、湯温を法律で決めてしまってあるからである。

この法律は明治時代や大正時代に施行されたものではなく、昭和38年に通達されたものである。公衆浴場の営業中は浴槽内の温度も、上がり湯の温度も常に42度以上保っていなければならない。つまり42度以上と決定されてしまっている。法律で最低温度が決定されてしまったから、この温度が公的認定温度となってしまった。

風呂屋に世話になった人達はいつのまにか高温党になっていった。

湯温42度と決定された根拠は明確ではないが、42度では最近は死滅しない。しかし急激な繁殖はしないということで、決定されたもののようである。

公衆浴場は人間が入るので細菌の死滅温度では入浴できないから、妥当温度で決められたもの。要は公衆浴場の衛生清潔保持を基準の目的と記されているが、菌群の伝染予防には役立ってはいるのだろう。

乳幼児であろうと、病弱者であろうと公衆浴場を利用するときは、この温度の浴槽に入ることになる。怖い話である。』

 

このように「高温浴の習慣」を解説した資料は類がなく、入浴研究を先駆的に実践した創業メンバーにはまだまだ及ばないと実感するばかりであります。

デベロ老人福祉研究所の研修でもご説明しておりますが、42度以上のお湯の場合、血液粘度の上昇がみられます。特に高齢者においては体全体の水分量の減少から脱水状態(血液濃縮)が容易に、しかも強く引き起こされるようになります。これは脳梗塞や心筋梗塞の引き金ともなります。こうしたことからも、要介護者への入浴は37度~39度の湯温をすすめております。

 

現代では、暖房代用目的や湯温42度の公衆浴場もめっきり減ったとは言え、高温党のご利用者にどう対応していくのか、現場でのご苦労も想像がつきます。それでも、これまでの背景を知り「高温党」へのごりかいもいただきたいと思う次第です。

 

※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

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