『入浴福祉新聞 第144号』(令和元(2019)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
高橋ドクターのちょっと豆知識
入浴で出来る熱中症予防
暑い日が続きます。夏日(25℃超え)という表現では止まらず、真夏日(30℃超え)、猛暑日(35℃超え)と続きますが、さらにもう一つ上の表現が必要なほどに日本の夏も変わました。「暑い日の熱中症対策」は世の中にだいぶ広まりましたが、救急搬送される方も減らないのが現状です。
入浴で出来る熱中症予防
熱中症予防に入浴は、残念ながら直接のつながりはありませんが熱中症を予防する身体づくりには期待ができます。
熱中症にならないためには「汗」をかいて体温を下げることが重要です。そのため寒い冬から夏に向けて徐々に、暑さに慣れるために汗をかきやすい身体へと変えていかなくてはなりません。ところが最近の日本では、春を飛び越えて熱さがいきなり到来することもあったりと、準備や慣れなどと言っている状況ではないのです。
ですので、毎日お風呂につかって体温を上げ、容易に汗のかける身体になっていれば体温を下げる能力も上がり、結果として熱中症の予防になると言えます。そういわれてみれば、お風呂が大好きという方は、代謝や血色も良く、元気な方が多いこともわかります。
また、元気なひとでも熱中症になる要因として睡眠不足があります。入浴は睡眠にも作用しますから、副交感神経を優位に働かせる微温湯に浸かることで、快適な入眠に繋げましょう。
気を付けたい高齢者の熱中症
特にご高齢者になると、室内でも熱中症にかかりやすくなりますので、ご注意をお願いします。
高齢の方は、温度に対する感覚が弱くなり、体温の調節機能が落ちてくるため暑さを自覚しにくく熱を逃す身体の反応や暑さ対策の行動が遅れがちです。気温・湿度計を活用し、生活環境の危険度を常に確認しましょう。
室内でも、高温多湿・無風の環境は熱中症の危険度が高まります。冷房や扇風機、除湿器などを利用し、風通しの良い環境をつくりましょう。
高齢の方は、加齢により体内水分保有量の減少に加え、身体が脱水を察知しにくいため、水分補給が遅れがちです。
入浴前後の十分な水分補給は当然ですが、普段からのどが渇く前に定期的な水分補給を整えましょう。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。