『入浴福祉新聞 第139号』(平成29(2017)年1月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
肌の乾燥を防ごう!! 前
外気の温度が下がるこの時期、肌の乾燥が悩みの種の方が多いと思います。
特に高齢者は、加齢に伴って皮膚の層が薄くなり、水分保有力が下がるうえに、皮脂の分泌量も少なくなるため乾燥肌の方が多いようです。こういった乾燥肌は、正常な皮膚に比べちょっとした刺激でも痒みを感じやすく、掻くとさらに痒みが広がり、ますます掻きむしるという状態になります。掻いて赤くなるだけでとどまらず、爪による掻き傷やひび割れのようになって湿疹になってしまうことも少なくありません。
日頃からの対処で感想を防ぐことが肝要です。
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今回は、入浴時に洗う道具と石鹸について、考えてみたいと思います。
入浴時に身体を洗う道具と石鹸は、刺激の少ないものにしよう。
○洗う道具の選択
「安価で丈夫、入手しやすいし、乾きやすい」ということから合成繊維(ナイロン・ポリエステル)のタオルを使用される方が多いのではないでしょうか。確かに利点もたくさんあるのですが、合成繊維100%のタオルで皮膚をゴシゴシすると、皮膚の表面に細かな傷を作ってしまいます。その結果、本来皮膚の内面に保持されるべき水分や、油分が抜け落ちてしまい、強い痒みを招いてしまいます。
最近は、綿、麻、絹、バイオマス素材、トウモロコシを原料としたエコフレンドリー繊維、海綿、果てはこんにゃくで作られたものまで、様々な材質のものがでています。肌の弱い方は、泡立てネットでしっかりと泡立ててから手のひらでなでるように洗ったり、天然素材のボディタオルにとって優しく洗うことをおすすめします。
○洗う石鹸の選択とその使用方法
肌は弱酸性、石鹸は弱アルカリ性、ボディソープは弱酸性。とするとボディソープを使うのがよいのでしょうか。
実は原料や製造方法、使い方によって肌への影響が異なるため、酸性・アルカリ性の性質だけで結論付けるわけにはいかないそうです。
石鹸でも弱酸性ソープでも、原料の配合や保湿剤などの添加物の工夫により、洗浄力に変化が生じます。これによってアルカリ性の石鹸だから洗浄力が強い、あるいは弱酸性ソープだから洗浄力がマイルド、と簡単に分けることはできないのだそうです。
「固形石鹸」のほとんどは、弱アルカリ性(まれに弱酸性石鹸がありますが、無添加のものはほぼない)ですが、洗った後に石鹸カスが残らないようによく洗い流しておきさえすれば、徐々に毛穴から汗や皮脂などが分泌され、肌は弱酸性に戻ります。通常、弱アルカリ性石鹸で肌の汚れや皮脂を取り除いても、そのまま肌がアルカリ性のままになることはないのです。また、石鹸の場合、皮脂や汗などの弱酸性の肌の汚れによって石鹸の性質が中和され、洗浄力がほどほどに抑えられます。
一方のボディソープは、合成洗剤であり、弱酸性でも洗浄力を発揮するよう調整されているのでこの作用は望めません。また肌の上でいつまでも洗浄力を維持するので、洗いすぎの状態になることもあり、かなり丁寧にすすがないと肌に残ることもあります。
まず肌に負担が少ない目安として、着色料・香料・防腐剤の含まれていないものがおすすめです。また使用方法として、肌に直接石鹸を付けるのではなく、タオルやスポンジにとって十分泡立てた後その泡で洗い、最後に十分すすぐことが鉄則と言えます。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。