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2022 04.15
煙が消える?銭湯の煙突は存続の危機~『入浴福祉新聞 第131号』より~

『入浴福祉新聞 第131号』(平成27(2015)年1月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

煙が消える?銭湯の煙突は存続の危機

今でこそ「家」に風呂が備わっているのは当たり前ですが、昭和40年代まで大半の家に風呂はありませんでした。入浴をするためには、2日に1度の割合で家族一緒に「銭湯」に行くのが当たり前だったのです。その「銭湯」のシンボルといえば町中の家々の屋根越しに見える、煙立ち上る「○○湯」と書かれた大きな煙突ではなかったでしょうか。実はこの煙突、燃料の重油の値上がりをきっかけに1つまた1つと消えつつあるのです。

厚生労働省によると、1980年に全国に15696軒あった銭湯は、2013年3月末時点で4804軒と約3分の1に減っているということです。特に家々の建て込みが顕著な都内では、煙害の苦情や危険防止を理由に煙突の存続はかなり厳しい実情がありました。

これに加えて昨年の夏頃、銭湯で燃料に使われている重油の価格が1ℓ約96円を超え、5年前に比べて6割程度の値上がりとなりました。一方、都内の都市ガスは3割程度の上昇にとどまり、作業の簡便性も後押しして都市ガスを燃料に使う銭湯は、昨年には過半数を占めるまでに拡大しているとの報告もあります。

いまや核家族化による影響か、他人と一緒に風呂に入ることに抵抗感をもつ人も多く、利用者低迷に経営効率化を迫られています。また、銭湯業界も経営者の高齢化や後継者不足、二酸化炭素の排出削減など時代背景も反映され、重油から都市ガスへの切り替えに拍車がかかっています。

「銭湯」=「煙突」の構図は大きく様変わりし、煙突が醸し出す情緒は時代の遺物となりつつあるようです。昭和の風景の消失に一抹の寂しさを感じずにはいられません。

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