『入浴福祉新聞 第143号』(平成31(2019)年1月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
いかがでしょうか
入浴時欠かせないものの一つとして、タオルを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。素材となる糸の製法や折り方にそれぞれの特徴があり、使う方の嗜好に合わせたものを選びたいものです。今回は産地それぞれの違いを中心にご紹介します。
◆愛媛県今治市 柔らかい肌触りの秘密
日本のタオルの代名詞として海外でも評価の高い「今治タオル」。
瀬戸内海の温厚な気候と水に恵まれた愛媛県今治市は、日本最大のタオルの産地です。ふわふわの肌触りで定評のある今治タオルは、軟水を用いて糸の晒しを行うことで繊維が優しい仕上がりとなり、繊細かつ柔らかな風合いを生み出しています。
さらに今治タオルの評価の高さの背景として、今治タオル独自の「5秒ルール」という品質基準の存在があります。
これは吸水性を見極めるためのテストなのですが、タオルの切れ端を水に浮かべ、沈むまでの時間を測定する方法で行われます。水に浮かべてから「5秒以内」に沈めば、合格となります。
このテストに合格しているタオルで身体を拭くと、水分や汗を一気に吸収してくれるのでとても気持ちよく感じられます。
◆大阪泉州地区の底力 歴史と製法に技あり
大阪府泉州地域の泉州たおるは「後晒し製法」という伝統の製法を用い、清潔感や吸水性の高さ、洗濯しても縮みにくいという耐久性に特長があります。軟水で晒すという点では今治市にも負けない繊維の柔らかさを生み出すことが想像に難くないですが、タオルの製造時に使用する糊やロウの綿の油分を洗い落とすという工程から糸に付着した不純物を全て取り除き「綿」本来が持つ優れた吸水性を活かした、最も理想的なタオルに仕上がります。
また「後晒し」の工程では織り上がった生地を徹底的に洗い上げるので、とても清潔な状態になり触れただけで、ふんわりとしたやわらかさ、心地良さが実感できます。優しい肌触りだけでなく、吸水性が良く衛生的。赤ちゃんや敏感肌の方でも、安心して使用できます。
◆次エースを狙う産地
三河タオル
愛知県三河では江戸時代から綿栽培を行っており、日本木綿の発祥の地という歴史を持つ誇りある地域です。日本の生地製造にかけても草分けと言えます。
生地の状態を確かめながら、湿った状態から乾いた状態へと乾燥を調整する工程は、毎日の天候により変化するデリケートで難しい作業であり、長い経験のもと、職人が生地の状態を確かめながら乾燥を調整します。この工夫によって三河木綿のやわらかな風合いが生まれ、いつでも心地良いサラサラ感と、洗うほどに増すやわらかな風合いを楽しむことができます。
三河タオルは未だ知名度は高くはないのですが、今後品質で有名になる可能性もありそうです。
●タオル一枚から生活の質は変えられる
タオルに求める質の優先順位は人によって様々です。フカフカが好きな人もいれば手触りの良さを求める方もいるでしょう。何よりも身体についている水分を素早くしっかり吸い取ってくれる事が大事だという方もいます。
お風呂ですっきりした後に上質なタオルを使用することでなんだかリッチな気分になれるかもしれません。
ちょっと気分を上げたい方は、お気に入りのタオルを探してみてはいかがでしょうか。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。