『入浴福祉新聞 第73号』(平成12(2000)年10月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
配食サービス[毎日]の自治体が急増傾向
利用者も増えて高まる民間企業への期待
安否確認…孤立感の解消…などの役割も
高齢者の健康を考えるうえで大切なのが食事。しかし、介護保険で自立と認定された高齢者でも、三度三度の食事は思うままにいかないのが現実です。
そこで、高齢者宅に食事を届ける[配食サービス]が全国に普及してきましたが、[配食]は介護保険によるサービス提供メニューに指定されていないため、これまで以上の積極的な取り組みが自治体に期待されています。
自治体から配食業務を委託されている民間企業の組織「全国在宅配食サービス事業協議会」(約70社加盟)では昨年の秋、配食サービスの現状と今後の課題を探るため、『自治体配食サービス実施状況調査』を行いました。
その結果、多くの自治体がこの福祉分野を前向きに考えていることが判明しました。
調査は、人口5万人以上の469市区町村を対象に行われ、有効回答率は51%。回答を寄せた市区町村の平均高齢化率は15%…1市区町村あたりの独居高齢者は2839人…1市区町村あたりの高齢者のみ世帯は4888世帯…といった具合で、全国どこの地域でも、食事の用意が大変な世帯が多くなっている現実は否めません。では、配食サービスの実施状況はどうでしょう。
現在「実施している」が81%、「実施していない」が16%、「無回答」3%でした。
しかし、「現在は実施していない」と答えた自治体の26%が「平成12年度に新規実施を予定」としていて、やはり配食サービスは広がる傾向を示しています。
[1人あたりの配食頻度]も、平成11年度は19%の自治体が「毎日配食」、35%が「週3~5日」といった状況でしたが、平成12年度には「毎日配食する」と答えた自治体が28%もあり、「週3~5日」が32%でした。
つまり、平成12年度では、配食サービスを実施している自治体の約6割が[1人あたり週に3日以上]を配食する体勢になるわけです。
しかも、昼食と夕食の2回配食する自治体も増加傾向にあり、1自治体あたりの平均利用者数も、平成11年度には307人から、平成12年度には338人に増えると予測しています。
また、配食サービスの実施主体は、平成11年度時点では、社会福祉協議会を除く社会福祉法人が47%、社会福祉協議会が40%、民間企業が25%、その他の団体が8%、住民団体が5%、自治体4%、その他が12%といった内訳ですが、平成12年度からは民間企業にも委託する予定の自治体が目立ったため、社会福祉協議会を除く社会福祉法人が42%、民間企業41%、社会福祉協議会37%、住民団体5%、その他の団体9%、自治体2%、その他12%といったシェア変化が予測されました。
配食サービスは、[栄養を考慮した食事の提供による高齢者の健康維持]だけでなく、[安否確認]や[訪問者とのコミュニケーション]など、不随的な役割も大きなものがあります。
この点は、回答を寄せた自治体も、地域の食材を取り入れる…ニーズに細かく対応したメニュー…行事食や季節感のある内容…温かい食べ物は温かく、冷たいものは冷たいままで届けたい…早すぎるなど配食の時間は反省すべき…といった課題をあげながら、声かけをする配食…孤立化を防ぐ目的…単なるお弁当の配達では困る…などを指摘していました。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
日常から介護まで 総合入浴情報サイト お風呂インフォ