2022
09.09
経済大国から不安大国へ 救う手だては福祉の充実~『入浴福祉新聞 第87号』より~
従事者向け
『入浴福祉新聞 第87号』(平成16(2004)年2月1日(日)発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
経済大国から不安大国へ 救う手だては福祉の充実
最近の神経生理学によると、「動物は不安や脅威のなかに長く置かれると、暴力的な脳になる」そうだ。
世界一安全な国といわれた日本で、犯罪が多発するようになったのも、大勢の国民が[暴力脳]をもつようになったのかもしれない。
内閣府が昨年の夏に発表した『国民生活世論調査』でも、日常生活に不安と悩みを感じている人が、過去最高の7割近くに達してしまったそうである。20歳代でも6割が不安感を抱いているほどで、とりわけ4、50代の不安感はかなり深刻化している。
仕事や収入など生活の基本的な見通しが悪くなり、老後の生活設計もできなくなり、健康にも自信がなくなってきた…というのが平均的な日本の中高年像になった。
結局は日本経済の問題になるのだが、夏に発表された『経済財政白書』によると、高齢者を中心として貯蓄の取り崩しが進んでいて、貯蓄率はヨーロッパ諸国より下がり、アメリカ並みになってきたという。
戦争や飢饉への不安ではなく、こうした[日本的不安]を少しでも解消し、国民の脳を暴力的にしないためにも、福祉の充実を第一目標に掲げることしかないのでは。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。