2018
04.06
手浴・足浴の効果~『入浴福祉新聞 第26号』より~
従事者向け
『入浴福祉新聞 第26号』(平成元(1989)年3月27日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
手浴・足浴の効果
寝たきり高齢者の入浴介護にあたって「安全」は絶対条件です。
そのため、訪問時の事前チェックで、入浴不可と判断するケースが少なくありません。
しかし、待ちに待った入浴日ですから、入浴できないとなれば対象者と家族の落胆は大きく、介護担当者はその対応に苦慮しているのが現状です。
それなら、全身浴よりももっと負担をかけない部分浴を提供できないものでしょうか。
つまり、手浴や足浴です。
当研究所では、これをテーマに昨年末から医学計測器を使って実験を繰り返してみました。
寝たままの状態で被験者の足を39℃の湯に入れ、つま先から洗ったあと、湯を取り換えて再度の足浴をし、水分をよく拭いて保温をする―これを3分程度で済ませても、足だけでなく、全身の皮膚温が平均4.6℃も上昇します。
しかも、脈拍や体温、血圧はほとんど変化がなく、皮膚は60分経過後も保温されることが判明しました。
つまり、足浴だけでも末梢血管の血流が好転することを意味します。
手足は、体温調節に最も重要なところで、手浴・足浴が清拭以上に、寝たきり高齢者の健康維持に欠かせないと思われますが、それだけでなく、皮膚表面の血流を活発にし、入浴に似た満足感も得られるようです。
今後も実験を続け、寝たきり高齢者向きの手浴・足浴の方法をまとめる計画です。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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