『入浴福祉新聞 第53号』(平成7(1995)年10月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
おばあ様もう一度輝いて!
私が3歳のとき、祖母は倒れて寝たきりとなりました。
以来、母は10年間も祖母の介護を続けました。小さい頃のことで、あまり記憶にはありませんが、入浴サービスに来ていただいていたことは印象に残っています。
そんな体験からでしょうか、将来は直接人の役に立つ仕事に就こう、と決意して福祉学校に進学しました。
同級生のほとんどは施設に就職しましたが、私は「これからは在宅福祉の時代だ」と思い、ホームヘルパーの道を選んだのです。
ラッキーにも菰野町が採用してくれたわけですが、男性ヘルパーはまだ全国的にもごく少数。
三重県でもほとんどいませんし、菰野町では、ナントこの私が第1号となったのです。
いざ仕事をはじめてみると、男性であるがために、対象者家庭からなかなか受け付けてもらえないことがたびたびでした。
「若いオニイサンに家事をさせるわけにはいきません。もったいないことです。死んだオトウチャンに叱られますヨ!」
というのです。
これからは、こうした仕事に男手も必要であることを理解してもらい、信頼関係を築くまでに何度も足を運んだケースもたくさんあります。
ホームヘルパーになって2年となり、いまでは孫のように可愛がってくれる対象者もいたり、掃除や洗濯にも慣れましたが、炊事と買い物、それに女性対象者の身体介護は、やはり男性では難しい面があるようです。
そこで、こうした仕事は女性のヘルパーさんに助けてもらいながら援助する、ということになります。
その反面、屋根に登って雨漏りを防いだり…電気製品などを修理したり…漬物石を動かしたり…コタツを出したり…という場合は私の出番で、男性ヘルパーならではの仕事がたくさんあることに気づきました。
ホームヘルパーのほかに、週に1~2回は移動入浴車のオペレーターも兼務しますが、私たちの町では地元の温泉を使っていて、これが大好評です。
今年は、私に続いて2名の男性ヘルパーが採用され、12名のヘルパーのうち3名が男性となり、心強くなりました。私は、おばあ様たちが大好きです。おばあ様たちがお化粧などをしてもう一度輝いてほしいため、これからも元気に町を駆けずり回っていこうと思っています。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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