『入浴福祉新聞 第7号』(昭和59(1984)年4月25日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
「福祉は共生」の発想もとう 移動入浴実態調査より浮かんだ4つの問題点
前号で、デベロ老人福祉研究所『移動入浴車実施状況調査』の概略を伝えました。
調査書の記述回答欄には、入浴福祉を絶賛する声が多数寄せられましたが、①医師の非協力、②入浴技術の難しさ、③財政問題、④家族や近隣の無理解、といった点も浮きぼりにされました。
今回はその問題点に少し触れます。
まず、入浴福祉に積極的な医師が増えた半面、ソッポを向かれたままの町がまだあるのは、「医者の風呂知らず」が根本的な原因です。入浴福祉の専門家のサイドから情報提供し、格式ばらないインフォーマルな話し合いを重ね広げてゆくことが大切です。
風邪や事故、緊張や疲労などが心配だとする「入浴技術の難しさ」を訴えるケースもありました。
これは「低温の少量湯で短時間。明るいスキンシップ」の原則と技術を、自分が受ける身になって訓練し修得していないからだと思います。
また、入浴車の再購入費や人件費など財政事情が厳しいとする回答も目立ちました。
募金による入浴車贈呈運動が広がっていますし、社協方式にみるように、正規職員とボランティアが一体となって運営する“半ボラ方式”も急増中です。
市民をひきつけやすい入浴福祉に限っては、呼びかけをうまくすれば財政問題の悩みも解決します。
「入浴車に頼って家族介護が低下する」と本来の目的の逆現象を生じている地域もあるようです。これは「近所の偏見」も含めて《してあげる福祉》の発想が招いた結果です。
福祉とは「相互努力」「共生」の意であることを忘れてはなりません。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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