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2018 10.26
「末期ガンを宣告され激痛と闘うTさんの訪問入浴に取り組んで」⑥~『入浴福祉新聞 第64号』より~
 従事者向け

 

『入浴福祉新聞 第64号』(平成10(1998)年6月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

「末期ガンを宣告され激痛と闘うTさんの訪問入浴に取り組んで」

大分県九重町社会福祉協議会 看護婦 熊谷 京子

 

☆家族を支えるためにも訪問を続ける

2月中旬になり、右下腿部や踵などに褥瘡ができてしまいました。瘡部からの滲出液でガーゼが汚れていることがあり、清拭などをした後で褥瘡の処置が必要となりました。血尿や尿の混濁のため、尿管カテーテルが詰まり、カテーテルの交換や膀胱洗浄の処置も時々受けるようになりました。

 

3月になると、下肢の痛みに加えて、腹痛や頭痛なども訴えるようになり、訪問しても何もしてあげられない日もありました。3月の下旬、Tさんを訪問して1年になります。「初めに入った時は、これからいったい何回ぐらいお風呂に入れるだろうか・・・と考えましたよ」とTさんは、自分のイノチの期限を意識した複雑な心境だったことを吐露してくれました。

 

4月になると、腰部から背部にかけてまた痛みが激しくなり、夜間には2回か3回ものモルヒネ注射を受けるほどになりました。注射をしても、激痛がほとんど緩和されないことが多くなり、さすがの奥様も家庭での介護に不安を感じ、医師と入院治療を相談したようです。

しかし、医師は、「本人が入院を希望すれば受け入れますが、痛みへの対処しかできません。急変時の対応は病院で整えますので、在宅を望んでいる本人の気持ちを尊重した方が・・・」と助言したそうです。

この言葉で、奥様も、「家で看取る」との決意を新たにされたようです。

 

ターミナルケアにおける痛みの緩和が、大切な医療になっている昨今ですが、激痛に苦しむ本人を見守っている家族の精神的な苦痛に対しても、専門家が支えてゆくべきだ、と痛感したしだいです。

 

 

前の記事

「末期ガンを宣告され激痛と闘うTさんの訪問入浴に取り組んで」⑤~『入浴福祉新聞 第64号』より~

 

 

※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

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