『入浴福祉新聞 第83号』(平成15(2003)年4月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
[訪問入浴サービスと感染予防]その①
抵抗力の弱い高齢者を病原微生物から守ろう
手指の正しい洗浄と消毒が介護の大前提!
医療機関でのMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)…温泉施設でのレジオネラ菌…特別養護老人ホームでのインフルエンザ…などなど、時代を反映して[高齢者の感染症]が社会問題となり、その予防対策が医療や介護の緊急課題になっています。
感染症対策は、在宅介護の分野でも不可欠となり、抵抗力が減弱している要支援や要介護の高齢者と接する従事者は、利用者に病原微生物を感染させない心構えと同時に、たとえ利用者から病原微生物をもらっても発症しない日頃からの健康管理が必要です。
病原微生物は口腔や鼻孔、呼吸器や皮膚、肛門や泌尿器などから侵入して体内で増殖します。
増殖した病原微生物の毒力が強く、その人の抵抗力が弱い場合は、感染症を引き起こすわけですが、予防するためには、病原微生物を体内に侵入させないことが基本的な対策になります。
これを訪問入浴サービスに当てはめてみますと、利用者が入浴をしますと、当初は清潔だ田お湯は病原微生物も含む雑多な菌に汚染され、その菌は浴槽などの入浴用具に付着します。手指にもかなりの菌が付いてしまいます。
そのままでは、次に訪問する利用者に菌を運ぶことになるため、入浴の終了ごとに、浴槽などの用具はすべて洗浄と消毒を行い、従事者の健康を守るためにも、手指も清潔にするわけです。
この手指の洗浄と消毒が、感染症予防の意外な盲点になっていて、医療機関や高齢者施設で、手指の清潔保持を徹底指導したら、院内や施設内の感染が激減した、との報告がたくさん出されるようになりました。
訪問入浴サービスでの感染症予防対策の第一歩も、この手指の洗浄と消毒であることを念頭に置き、入浴介護ごとに敢行してください。
また、口腔感染を防ぐためにも、うがいを日常的な義務として取り入れてほしいものです。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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