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2018 10.12
植物状態から快復したKさん~『入浴福祉新聞 第22号』より~
 従事者向け

 

『入浴福祉新聞 第22号』(昭和63(1988)年2月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

植物状態から快復したKさん

埼玉県比企広域市町村圏組合 移動入浴車オペレーター 市川 之男

 

 

私達の行政組合は昭和48年、東松山市、滑川・嵐山・小川・川島・吉見・鳩山の各町と都幾川・玉川・東秩父の各村で設立されました。現在10市町村で人口は約19万。65歳以上は10%になっています。

 

入浴福祉事業は52年10月から着手され、ちょうど10年を経過したことになります。

現在の対象者は約70人で、年間650回以上各家庭を移動入浴車が訪問します。当初からオペレーターとして配属された私は、各自治体の看護婦・保健婦・ヘルパーと一緒に10市町村を回り続け、これまでに300人以上の寝たきり高齢者とお付き合いをしてきました。

 

いろいろな家庭があり、入浴の効果も様々だな、といい勉強をさせていただいている毎日ですが、なかでも驚いたのはKさんです。大正13年生まれの女性で、昭和53年にクモ膜下出血で倒れた方でした。

一命はとりとめたものの植物人間状態となり、訪ねた時に接したその姿に私も少々戸惑ったくらいでした。

手足をピクリとも動かせず、目の反応もゼロでした。

どの病院へ行っても見離され、有名な鹿教湯温泉の病院でも「死ぬのを待つばかり」と医者に言われたそうです。

 

ところが、入浴で数回訪問し続けたある日のことです。

頭を洗い終わって、私が「Kさん、サッパリしたでしょう」と声をかけると「ふん」と口を開いたのです。

しかも半年もすると、入浴車の到着や浴槽の準備完了が、言葉や雰囲気でわかるようになり、自力で寝間着を脱ごうとするのです。その後、意識はさらにはっきりとし始め、腕や脚の状態も好転してゆきました。

 

これを知った鹿教湯の温泉病院の医師も「奇跡だ!すぐ連れて来なさい!」と仰天するほどでした。

 

訪問入浴介護がきっかけとなり、約1ヶ月のリハビリ訓練を経て、退院して帰って来た時には、同じKさんとは思えない快復ぶりでした。家の近所を車椅子なしで散歩をし、産まれたばかりの孫のお守りをし、私たちをお茶に招いて冗談を言い笑わせてもくれたのです。

 

Kさんの他にも、しゃべるようになった、ベッドの上で食べられるようになった、といった例を含めると数えきれません。

 

 

入浴の効果に日々驚く毎日ですが、これからも寝たきり高齢者の健康を願い、町や村を走り続ける決意です。

 

 

 

※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

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