2022
08.12
前照灯~『入浴福祉新聞 第87号』より~
『入浴福祉新聞 第87号』(平成16(2004)年2月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
前照灯
じき90歳になる母親が、特養で転倒し、例にももれず大腿骨頸部を骨折した。
家にいた頃は定期的に介助に行き、「家の中は足元が悪いから転ぶなヨ」とウルサイほど注意していたのだが、施設で乱暴運転の車いすにぶつけられ転倒である。
太い金属を入れる手術をして、なんとか2ヵ月で退院。しかし、手術をした部位が痛むという。鎮痛剤を服用しても、激痛で眠れないと訴えるのである。
しかし、手術を担当した医師は、レントゲンをみても炎症は起きていないし大丈夫…安心して自分でリハビリをしましょう…というだけ。
この特養でもリハビリコーナーのような一角はあるが、物置き場のようになっていて、とても望めない。それに本人が、週2回の入浴をした時には痛みが激減する旨を訴えていたのだが、医師は表情ひとつ変えないのだ。
激痛に耐えられない時、入浴して痛みが不思議と緩和した経験は誰もがある。
週2回しか入浴できないなら、せめて足浴だけでもお願いしたい…必ず鎮痛効果があるはず…と特養の職員に伝えたのだが、飲んだり貼ったりする薬剤に頼るのではなく、湯浴の驚くべき効果を医療や施設の関係者は勉強してほしい。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。