『入浴福祉新聞 第78号』(平成14(2002)年1月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
良いニオイはリラックス脳波α波を増やしストレスホルモンのコチゾールを抑える
〔香りのケア〕にもっと関心を向けませんか
病院のニオイ…老人ホームのニオイ…要介護高齢者のいる家庭のニオイ…といったことに、私たちは意外に無頓着ではないでしょうか。
しかし、〔良いニオイ〕と〔悪いニオイ〕の区別は歴然としていて、最近は介護や医療の現場でも、もっと嗅覚に関心を向けようという動きが出始め、先進的な精神科の医師や化粧品メーカーが本格的な研究に取り組んでいるそうです。
〔良い〕とされるニオイを嗅ぎますと、やはり何となく気分が落ち着きますし、多くの人が〔クサイ〕と感じるニオイには苛立ちます。
そうした感情を脳波で測定しますと、芳香剤…微香性消臭剤…ラベンダー…などを嗅いだ状態にあるα波が増加。逆に、タバコの煙り…使用済の食用油…汗…台所のナマゴミ…などを嗅ぎますと、α波が確実に減少してしまうというのです。
また、人間はストレスにさらされますと、コルチゾールというホルモンが血中に増加します。この面からも、〔良いニオイ〕はコルチゾールを抑制してストレスを緩和してくれることもしだいに判ってきました。
〔良いニオイの効用〕に着目して、心の病や不眠症に悩む患者さんに、本人が好む芳香剤を勧めたり…末期ガンの病室で芳香剤を漂わせてみたり…悪臭に敏感な片頭痛の患者さんの症状を良い香りで緩和したり…といった試みが始まっています。
人間の臭覚は犬ほどではありませんが、それでも鼻は顔の中心にあり、重要な感覚器である事を示しています。しかも、臭覚は歳を重ねても、機能はあまり衰えません。
要介護の身体になっても、ココロのありようで随分と生活が変わってくるはずです。訪問介護や訪問入浴サービスでも、それに高齢者の施設ではとくに、〔香りのケア〕を採り入れてゆきたいものです。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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