2021
07.02
前照灯~『入浴福祉新聞 第77号』より~
従事者向け
『入浴福祉新聞 第77号』(平成13(2001)年10月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
前照灯
最近〔心のケア〕という言葉がよく使われるようになった。
物質的な豊かさが続いてきたこの日本で、突発的で信じられない異常な事件が頻発し、当事者や遺族が背負うことになった〔深い心の傷〕に国民が関心を向けるようになったためだ。
ある高齢者問題のパネルディスカッションで、東京都老人総合研究所の鈴木隆雄副所長が「高齢者の転倒骨折事故でも、早期に心のケアが必要」と力説している。
年に一度転倒する割合は、65歳以上の20%…75歳以上では30%に達する。だいたい60%は無事だが、30%は打ち身や創傷を追い、10%が骨折し、全体の3%は脚の付け根などを骨折する重度になる。
骨折が治っても、当人の恐怖心や自信喪失などから出不精になり、家庭内でも身体を動かさなくなる。機能が衰えてゆくその果てに、再転倒や[寝たきり]が待ち受けている。
転倒防止対策も含めて、厚生労働省も介護予防に力を入れ始めたが、骨折済みの高齢者へのさまざまな支援も必要になっている。
それにしても、〔心のケアの専門家〕が日本は少なすぎる。何があっても「頑張れ!」の一言で片づけてきたツケがまわってきたといえる。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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