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2020 12.04
[訪問入浴も介護保険で・・・]スタート~『入浴福祉新聞 第71号』より~
 従事者向け

 

『入浴福祉新聞 第71号』(平成12(2000)年4月1日発行)より

過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。

発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。

 

 

[訪問入浴も介護保険で・・・]スタート

課題山積・・・現場従事者はもっと[声]を

 

21世紀の超高齢時代をひかえ、介護保険制度が施行された。

従来の[措置制度]とはまったく異なる仕組みで介護サービスを提供してゆくことになったわけだが、[社会全体で援助が必要な高齢者を支えてゆこう]との理念から発した制度であることを、しっかりと銘記しておきたいものである。

訪問入浴サービスも、介護保険の指定メニューに決まって以来、この[業界]にもダイナミックな変化が次々と生じてきた。そのひとつが、民間企業の再編だろう。

介護保険を契機に、新規参入が激しくなるなかで、訪問入浴サービスをリードしてきた先駆的な民間企業が相次いで、新規参入企業との提携や合併、吸収や協力、といったカタチで経営戦略を大きく転換させた。そうした[合体]によって、訪問入浴サービスの供給体制が強化されることを期待したい。

[訪問入浴も介護保険で]の時代になって心配されるのは、最も需要のある入浴援助に地域格差が是正されないどころか、格差が生じてしまうことである。

かなりの人口を抱えながらホームヘルパー派遣制度の充実を続けてきた首都圏のある自治体では、介護保険に移行しても訪問入浴サービスの需要は100%満たせる、と胸を張る一方、いまだ満足に入浴車が巡回していない地域も少なくない。

日本人の生活に欠かせない入浴の地域格差は、優先的に解消してほしい。

介護報酬という収入を基盤にする介護保険では、その報酬金額が全国で約7000といわれるサービス事業所にとっては最大の関心事だったが、訪問入浴サービスは、1回12500円となった。

これに地域加算がある一方、介護職3名のみで実施した場合は5%、利用者の心身の状況から全身浴が困難で清拭や洗髪などの部分浴を行った時は30%の減額となる。

地域加算は、離島や山間地など訪問がしにくい地域では15%が加算され、東京特別区のように人件費が高い地域では7.2%の加算。また、[特甲地]で6.0%、[甲地]で3.6%、[乙地]で1.8%、といった具合にそれぞれ加算できる。

とはいえ、基準額は11500円で、この金額については現場の従事者からも随分と不満の声があるようだ。というのは、在宅の重度患者が急増している昨今、難しい入浴介護が多くなってきたためである。

ホームヘルプをはじめ他のサービスでは報酬金額を、時間や業務内容別にキメ細かく設定しているのだから、訪問入浴サービスも難易度によって金額に差を付けるべきだろう。

現状の価格設定では、要介護5の対象者はどうしても敬遠されがちになるのではないだろうか。

しかも、報酬金額は、あくまで上限価格で、値引き競争は禁じられていない。

さらに、介護保険に認められていない、[浴室の浴槽介助][浴室でのシャワー浴]なども、訪問入浴のスタッフが実施すれば安全で快適に行えるはずだから、これも訪問入浴に組み入れるべきではないのか。

昨年の全国入浴福祉研修会でも提起された[訪問入浴の看護婦業務の位置づけ]の問題も残されている。訪問看護は医師の指示書によって業務を進める仕組みが明確になっている。

だが、訪問入浴における看護業務と[医師の意見]との関係はあいまいなままだ。訪問入浴の看護業務は、訪問看護をも包括しているため、この点も報酬に反映すべきではないか。

この他、介護福祉全般の問題として、厚生省が都道府県に設置を決めた「介護サービス・オンブズマン委員会」を充実した組織にしたいし、ケアマネジャーは弁護士や公認会計士のような独立系職種に育ててゆくべきだ、との意見もある。

いつの時代でも、またどのような分野でも、制度の仕組みというものは固定的に考えず、修正すべきは修正してゆく姿勢を忘れてはならない。

実際に介護をしている専門家が、声を大にしなければ、理想的な制度に高まることはないだろう。

(露)

 

 

 

※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。

 

 

 

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