『入浴福祉新聞 第48号』(平成6(1994)年7月1日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
介護福祉 こんなときどーするの
気管カニューレ導入患者さんの入浴方法は?
喉頭部の腫瘍などで気道が狭くなったり、塞がってしまうおそれのある人は、気管を切開して、気管にカニューレを挿入して気道を確保する場合があります。
在宅で療養している患者さんでは、筋委縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病、長期の意識障害、重度の脳梗塞後遺症、といった疾病を患っている方に、気管カニューレを使用しているケースが多いと思います。
では、こうした患者さんの入浴介護は、どのような配慮が必要でしょうか。
入浴前の一般健康状態のチェックはもちろんですが、チアノーゼや喘鳴、呼吸困難などがあるかどうかを、特によく観察します。
入浴中も呼吸状態にはよく注意を払い、肩までお湯をつけない[介護入浴の湯量]は必ず厳守してください。
お湯をかけたり、シャワーを使用するときにも、胸の部分までとして、気管切開部や気管カニューレには絶対にお湯が入らないようにします。
気管切開部や気管カニューレにお湯や水が入りますと、私たちと同じように、「むせる」状態になるからです。
お湯や水が入らないようにするには、カニューレの部分をタオルで覆ったり、あるいは、紙コップを逆さにしてカニューレを保護することが一番いいでしょう。
気管切開部は、直接、気管とつながっているため、気道感染を起こす可能性があり、入浴終了後は、家族に気管切開部を消毒してもらい、切り込みガーゼも交換してもらいましょう。
気管カニューレの挿入者は、声を出すことが困難ですから、なおさらコミュニケーションには気を使ってほしいものです。言葉を書いたカードでやり取りをするとか、文字板などを使って筆談するなど、工夫をして、心のかようサービスを提供したいものです。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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